「C・ロナウドのアシストは最大のサプライズだ」英国人記者がEUROの注目トピックを選出!「OBたちの批判的なコメントが目立つ背景は…」【現地発】

ドイツで開催されているEURO2024は開幕から10日が過ぎた。

開催国のドイツが属するグループAはすべてのゲームが終了し、ドイツとスイスがラウンド16に進んだ。ハンガリーは3位での決勝トーナメント進出を狙っている。

その他のグループではこれから最終節が行なわれて、次のステージへと進むチームが決定するが、今大会のここまでで私が気になったトピックをいくつか挙げる。

まず、驚きだったのはベルギー代表だ。初戦のスロバキア戦(0-1)でまさかの敗戦を喫した。絶対的司令塔のケビン・デ・ブライネに何が起こっているのだろうか。彼は私のお気に入りの選手の一人で、いつも正確にボールを運び、めったに奪われない。2戦目のルーマニア戦(2-0)ではゴールを決めたものの、ここまでは彼らしくないパフォーマンスが続いているように感じる。

また、開幕前には優勝候補と言われていたイングランド代表も、波に乗れていない。特にガレス・サウスゲイト監督は多くの批判を受けている。しかし、大会序盤ではよくあることだ。選手の起用法についてもいろいろと議論されているが、今に始まったわけではなく、大会前から懸念されていた部分でもある。ここから最適解を見つけられるかが悲願達成のカギを握るだろう。

【動画】ロナウドが「ありえない」アシスト→ブルーノの追加点
ベテラン選手たちの健在ぶりも注目だ。特にポルトガル代表のペペ、クリスティアーノ・ロナウドの2人はそれぞれ41歳と39歳だが、揃ってここまでの2試合に先発しており、連勝に貢献している。

トルコ戦(3-0)では、そのC・ロナウドが自身の決定機でブルーノ・フェルナンデスに横パスし、追加点をお膳立てする場面があった。彼のゴールチャンスであのようなプレーを見たのは初めてだ。今大会最大のサプライズだろう。

そして、メディアに登場する各国代表のOBたちによる現役選手や監督に対する批判的なコメントが目立っている。たとえば元イングランド代表のガリー・リネカーは、デンマーク戦後にエースのハリー・ケインを「ハードワークが足りない」と批判していた。

この背景にあるのは、今や多くのメディアプラットフォームがあり、これまで以上に競争が激化している。解説を務めるOBたちはより強い意見を示すように求められているのだ。

どの大会でも選手、メディア、ファンにとって新しいイノベーションやトレンドが生まれるが、今大会も例外ではなさそうだ。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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