かつてロシア船の乗組員を住民が救助 「ロシア祭り」で助け合いの精神、大切さ学ぶ 島根県江津市

「イルティッシュ号」と題した曲を合唱する高角小学校5年生=江津市和木町、和木地域コミュニティ交流センター

 日本とロシアによる日露戦争の日本海海戦(1905年5月)で、船が沈没し江津市の海岸に漂着したロシア兵を住民が救助した歴史を伝えようと、江津市和木町の和木地域コミュニティ交流センターでこのほど、ロシア祭りが開かれた。住民たちの人道的な行動に思いをはせ、助け合いの精神を継承する大切さを認識した。

 ロシア艦隊の輸送船「イルティッシュ号」が対馬沖で被弾し、漂着した乗組員200人以上を地元住民が救出したとされる。総合的な学習の一環で学ぶ江津市嘉久志町の高角小学校の5年生29人が、傷ついたロシア兵を救助する歴史を読み上げ「イルティッシュ号」と題した曲を合唱した。

 同小5年の生徒(10)は「助け合いの素晴らしさを示した先人の行動を伝えられて良かった。戦争は良くないけど、傷ついた人がいたら同じようなことができる大人になりたい」と話した。

 ロシア祭りは先人の行動をたたえて後世に語り伝えようと毎年、地元住民団体でつくる実行委員会が開催。住民らによる飲食と体験ブースもあり400人が訪れた。

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