福山市の鞆未来トンネル、6月中にも貫通へ 架橋代替、開通は年度内

貫通が間近に迫る鞆未来トンネルの東側の内部

 広島県福山市鞆町の鞆港埋め立て・架橋計画の廃止に伴う山側トンネル「鞆未来トンネル」が月内にも貫通する見通しであることが24日、複数の関係者への取材で分かった。トンネルは鞆町のまちづくりの柱に位置付けられており、広島県が進める工事は節目を迎える。貫通後はトンネル内の照明など関連工事を進め、本年度内の完成、利用開始を目指す。

 鞆未来トンネルは全長2114メートル。県は東側の御幸地区と西側の平地区から掘削し、今月11日現在で計2034メートルの掘削を完了した。現在はさらに掘削が進んでおり、貫通後は舗装や照明、排水設備などを整備する。

 トンネルの掘削工事は当初、東西両側で同時に始める予定だったが、2022年12月に東側、23年7月に西側で着手した。西側の開口部の周辺で山を切り開く際、想定以上に地盤が固く、接続道路などの整備に時間がかかった。このため、県は完成目標が23年度末から1年遅れる見通しを示している。

 トンネルは鞆町中心部の渋滞緩和が目的。完成後は片側1車線の県道の一部となる。1983年に浮上した鞆港の埋め立て・架橋計画は景観などを巡って住民の賛否が割れ、湯崎英彦知事が12年6月に撤回を表明。県はトンネルを軸とした新たな計画をまとめ、トンネルの掘削残土を使った埋め立て地の造成や高潮対策なども町内で進めている。

 鞆町内会連絡協議会の岡本浩男会長(66)は「開通まで住民に影響がないように引き続き工事を進めてほしい。交通混雑の解消に向けたトンネルの開通後の実態を注視しながら、まちづくりを進めていきたい」と話している。

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