新作立佞武多に魂宿る 閻魔大王の三つ目に墨 青森・五所川原市

「閻魔」の面に墨を入れる忠汰さん=24日、五所川原市の「立佞武多の館」
見送り絵「地獄太夫絵図」を制作した絵描きユニット「だるま商店」の安西さん(左)と島さん(右)、「閻魔」の制作者忠汰さん(中央)

 五所川原立佞武多(たちねぷた)の本年度の新作「閻魔(えんま)」の面に墨を入れる「書き割り」が24日、青森県五所川原市の立佞武多の館で行われた。閻魔大王の三つの目に筆が入れられると、死者を裁くにらみに魂が宿った。

 閻魔は、死者の生前の行いを映す「浄玻璃(じょうはり)の鏡」を前に、閻魔大王が裁きを下す場面を表現。ねぷた表現師の忠汰(ちゅうた)さん(48)=本名齊藤忠大=の7作目となる。この日は1時間余りかけて、忠汰さんが縦横それぞれ約1.7メートルの面(顔)に眉やひげ、目などを丁寧に描いていった。

 近年は女性が題材の「歌舞伎創生 出雲阿国」(2016年)や、「かぐや」(19年)を制作してきた忠汰さん。「閻魔はちょっと怖い、畏れ多いと感じる題材なので、荒々しく制作した」といい、8月の祭り本番では「極彩色の色合いを楽しんでもらいたい」と話した。

 閻魔は色付け、組み立てなどを経て7月11日に完成し、同日から同館で展示される予定。

 24日は、京都市を中心に活動する絵描きユニット「だるま商店」が手がけた見送り絵「地獄太夫絵図」が完成し、関係者に披露された。

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