SaaS企業の特別休暇取得、7割以上が「産休、育休、介護休暇を取得しやすい」と回答/エムエム総研

エムエム総研が運営するSaaSセールス特化型転職エージェント「マーキャリNEXT CAREER」は、SaaS企業に勤めている人、およびSaaS企業の人事担当者1,032名を対象に「SaaS企業における男女共同参画社会実現に向けた特別休暇の取得動向」に関する実態調査を実施した。

【調査概要】

調査概要:「SaaS企業における男女共同参画推進動向」に関する実態調査

調査期間:2024年6月7日~6月10日

調査方法:リンクアンドパートナーズが提供する「PRIZMA」によるインターネット調査

調査人数:1,032人

調査対象:調査回答時に、SaaS企業に勤めている人、SaaS企業の人事担当者と回答したモニター

調査元:エムエム総研

モニター提供元:PRIZMAリサーチ

SaaS企業の産休・育休制度の取得比率について

勤務先企業の男女別の産休(※)取得率をたずねた。「わからない」と回答した人をのぞくと、女性の産休取得率は「100%」と回答した人の割合が13.5%でもっとも多くなったが、次いで「20%~30%未満」と回答した人(12.7%)が多いことから、企業によって取得率にへだたりがある。

また、男性の産休取得率に関しても、「わからない」と回答した人をのぞくと「〜10%未満」と回答した人が17.7%ともっとも多く、「10%〜20%未満」の11.4%が次に多い結果となった。

2022年から施行された「改正育児・介護休業法」で、男性の「出生児育児休業」(通称「産後パパ育休」)が創設されたが、男性の「出生児育児休業」の取得率は高くはないことがわかった。

※産休:出産予定日の6週間前から産後8週間取得できる、産前・産後休業のこと

勤務先企業の社員の育休(※)取得率に関してたずねた。「わからない」と回答した人をのぞくと、「100%」が11.4%でもっとも多く、次いで「30%~40%未満」で10.6%となった。

※育休:1年間の育児休業のこと

これらの結果をふまえて、SaaS企業に勤めている人とSaaS企業の人事担当者で比較したところ、次のような結果となった。

SaaS企業に勤めている人

「~10%未満(4.6%)」「10%~20%未満(5.2%)」「20%~30%未満(6.7%)」「30%~40%未満(8.1%)」「40%~50%未満(7.1%)」「50%~60%未満(7.7%)」「60%~70%未満(2.2%)」「70%~80%未満(3.8%)」「80%~90%未満(4.0%)」「90%~100%未満(8.3%)」「100%(13.5%)」「わからない(28.8%)」

SaaS企業の人事担当者

「~10%未満(5.9%)」「10%~20%未満(7.4%)」「20%~30%未満(12.9%)」「30%~40%未満(12.9%)」「40%~50%未満(13.3%)」「50%~60%未満(11.5%)」「60%~70%未満(5.7%)」「70%~80%未満(6.6%)」「80%~90%未満(4.5%)」「90%~100%未満(8.1%)」「100%(9.5%)」「わからない(1.7%)」

SaaS企業に勤めている人の場合、その約3割が「わからない」と回答。取得率のみ見てみると「100%」(13.5%)がもっとも多くなった。

一方、SaaS企業の人事担当者の場合、「20%〜30%未満」が12.9%、「30%〜40%未満」が12.9%、「40%〜50%未満」が13.3%と「20%〜50%未満」と回答する人が多くなり、「100%」と答える人は9.5%という結果になった。また、「わからない」と答える人は1.7%だった。

SaaS企業でも、人事担当者とほかの社員との間で育休取得に関する認識に関する格差があることがうかがえる。

次に、男性社員の育休取得率に関して調査したところ、次の結果になった。

Q:お勤めの企業における男性の育休取得率を教えてください

「~10%未満(18.9%)」「10%~20%未満(11.2%)」「20%~30%未満(10.2%)」「30%~40%未満(8.4%)」「40%~50%未満(8.3%)」「50%~60%未満(8.5%)」「60%~70%未満(5.8%)」「70%~80%未満(4.5%)」「80%~90%未満(2.5%)」「90%~100%未満(2.0%)」「100%(2.3%)」「わからない(17.4%)」

「わからない」と回答した人をのぞくと、「~10%未満」が18.9%ともっとも多く、次いで「10%~20%未満」の11.2%と取得率が低いことが明らかになった。

この結果をふまえて、SaaS企業に勤めている人とSaaS企業の人事担当者に分けて男性社員の育休取得率を比較したところ、次の結果となった。

SaaS企業に勤めている人

「~10%未満(18.5%)」「10%~20%未満(9.9%)」「20%~30%未満(8.5%)」「30%~40%未満(6.5%)」「40%~50%未満(5.7%)」「50%~60%未満(5.2%)」「60%~70%未満(3.4%)」「70%~80%未満(3.4%)」「80%~90%未満(1.4%)」「90%~100%未満(2.4%)」「100%(2.8%)」「わからない(32.3%)」

SaaS企業の人事担当者

「~10%未満(19.4%)」「10%~20%未満(12.3%)」「20%~30%未満(11.8%)」「30%~40%未満(10.2%)」「40%~50%未満(10.8%)」「50%~60%未満(11.7%)」「60%~70%未満(8.1%)」「70%~80%未満(5.5%)」「80%~90%未満(3.6%)」「90%~100%未満(1.7%)」「100%(1.9%)」「わからない(3%)」

SaaS企業に勤めている人の場合、約3割は「わからない」と回答したが、男性社員の育休取得率に関しては「~10%未満」の18.5%がもっとも多くなった。一方、SaaS企業の人事担当者の場合も、「〜10%未満」の19.4%がもっとも多くなり、「10%〜20%未満」の12.3%、「20%〜30%未満」の11.8%が続いた。 男性社員の育休取得率に関しては、女性社員の場合と同様に、SaaS企業の人事担当者の場合は「わからない」という回答が少ないが、SaaS企業に勤めている人とSaaS企業の人事担当者はどちらも「~10%未満」という回答がもっとも多いという結果になった。

SaaS企業は産休や育休を取得しやすい環境? どのような課題がある?

「貴社では産休、育休、介護休暇の取得はしやすいと思いますか?」とたずねたところ、「とてもそう思う」が23.2%、「ある程度そう思う」が52.9%、「あまりそう思わない」が17.7%、「まったくそう思わない」が6.2%という回答になった。

「とてもそう思う」と「ある程度そう思う」を合わせると7割以上が取得しやすいと思っていることが明らかになった。一方、「あまりそう思わない」と「まったくそう思わない」を合わせた約2割は取得しやすいとは感じていない。

Q:SaaS企業は産休、育休、介護休暇を取得しやすい?そう思う理由と思わない理由

【とてもそう思う/ある程度そう思う】

  • 同じ場所にいる女性はみな産休、育休を取得した後、もとのポジションに戻っているため(50代/女性/東京都)
  • 介護休暇や本人療養の休暇を取得している直近の実績があるから(50代/男性/東京都)
  • 対象者がいれば、取得を促すように指示がある上、制度も充実していると思う(50代/男性/長崎県)
  • 国の制度を履行する環境が整っている。企業独自の取り組みもある(50代/男性/東京都)

【あまりそう思わない/まったくそう思わない】

  • 取得しにくい雰囲気があります。例えば、申請するとイヤミを言われます(30代/女性/千葉県)
  • 業務が忙しく、休暇自体が取りにくいです(40代/女性/福岡県)
  • 復帰後に部署異動となる場合が多い(40代/男性/山口県)
  • 販売会社なのでリモートワークですら取り組みがないから(50代/男性/福岡県)

7割以上が産休、育休、介護休暇を取得しやすいと回答したが、SaaS企業でも温度差があることもうかがえた。

「産休、育休、介護休暇の取得において課題と感じることについて教えてください(複数回答可)」と質問したところ、「職場の負担増大」(34.6%)と回答した人がもっとも多く、次いで「仕事の引継ぎ、後任」(28.5%)、「社内での事例不足」(26.4%)と続いた。

3割以上が、産休や育休といった比較的まとまった休暇を取ることで職場の負担が増大するという課題を感じていることがわかった。このほか、引継ぎや後任の選定、休暇取得に関する事例が不足していることにも課題があることが明らかになった。

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