ガンダムファンも唸る「かわいい顔した骨太SLG」 ファミコン名作『ガチャポン戦士2』が35周年

ファミコン用ソフト『SDガンダムワールド ガチャポン戦士2 カプセル戦記』(編集部撮影)

アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズにまつわるゲームは多々発売されていますが、ことファミコンにおいては『ガンダム』のキャラクターやモビルスーツがデフォルメされた『SDガンダム』シリーズのほうが多くリリースされ、子どもたちから絶大な支持を集めていました。そのなかでも特に記憶に残る、そして代表的なタイトルといえば『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』シリーズではないでしょうか。

■意外と本格なウォーシミュレーションな『ガチャポン戦士』

シリーズ第1作となる『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』(バンダイ)は1987年11月20日にファミコンのディスクシステム用ソフトとして産声を上げました。SDガンダムが題材で一見敷居が低く見えますが、その実本格的なウォーシミュレーションゲームであり、バトルはアクションというファミコンならではのゲームとして人気を集めました。

しかし、3作目『SDガンダム ガチャポン戦士3 英雄戦記』ではアクションバトルは廃止され、RPGのようなコマンドバトルに変更。その後、ファミコンで作られた5作目までずっとコマンドバトルが続きました。ですが、やっぱり『ガチャポン戦士』はアクションバトルあってこそだというファンも少なくないはずです。

その最初の完成型といえるのが1989年6月25日に発売され、本日で35周年を迎えた『SDガンダムワールド ガチャポン戦士2 カプセル戦記』です。

■読み込みがない! コンピュータが速い! つまり最高!!

第一作『スクランブルウォーズ』から第二作『カプセル戦記』への変更点はいくつもありますが、もっとも大きいのが「ディスクシステムからロムカセットになった」「コンピュータの思考が速くなった」という2点でしょう。

ロムカセットになったことでバトル前の読み込みがなくなり、すぐにバトルできるようになったのは非常にありがたい変更点でした。また、コンピュータの思考速度が速くなったことで、敵ターンの待ち時間が短くなったのも嬉しかったですね。どちらも、トータルのプレイ時間からすればわずかな時短ですが、実際に遊んでいると大きく違います。ゲームにおいて、「速さは正義!」なのです。

ゲーム自体は、生産の要素がある戦略シミュレーションで、マップは原作アニメをモチーフにしたものを中心に全30面と非常に豊富。

筆者は生産要素のあるシミュレーションはちょっと苦手なところがあるのですが、そもそもガンダムが大好きなこともあり、またユニットも名前を見れば何となく性能が予想できたため、本作はあまり苦に思わずプレイできるSLGのひとつでした。当時、同じような思いで『カプセル戦記』に触れ、シミュレーションジャンルにハマったという人は結構いたんじゃないかなと思います。

■『逆襲のシャア』のMSが盛りだくさん! でも最強ユニットはまさかの……!?

『カプセル戦記』では『機動戦士ガンダム』から『逆襲のシャア』までに登場した45種のモビルスーツやモビルアーマー、戦艦が登場します。ガンダムはもちろん、水中エリアでは自由自在に動けるズゴックやゾック、可変機能のあるZガンダムなどバラエティに富んだラインアップです。

ウォーシミュレーションゲームでは、生産に必要なコストが高いほどユニットの能力も高いのが一般的ですが、本シリーズでは必ずしもそうではありません。

たとえばゲルググは低コストながらも、ビームナギナタによる格闘戦が異様に強く、ジャイアントキリングも余裕な強ユニットでした。もっともそれは『スクランブルウォーズ』の話で、『カプセル戦記』ではだいぶ弱体化されてしまって残念に思った人も少なくないでしょう。

では、どのユニットが強いのかと問われると、なんとあのムサイが筆頭にあがるほどなのです。

■ユニットの使い方&操作次第で戦況が有利に! 数字に囚われない最高のSLG!

ほかの戦艦ユニットの半分以下のコストで生産ターンはわずか2という超コスパなムサイ。

しかし、空を飛んでいるためか数値以上に移動力があるうえ、水中エリアで水陸両用モビルスーツと戦っても勝てるほどの超強力なユニットなのです。おまけにユニットを1機搭載でき、さらにマップ上で敵ユニットにミサイルを撃てるなど戦況に合わせた運用も可能です。占領できないのが欠点ぐらいで、モビルスーツを作るよりもムサイそろえたほうがいいんじゃない? と思えてしまうほど優秀ユニットでした。

SLGといえば数値のゲームで、戦いを優位に進めるために戦略や戦術が重要です。そういうゲームならばムサイが強いなんてことはないかもしれませんが、アクションバトルが加わった『スクランブルウォーズ』や『カプセル戦記』は、低コストユニットでも上位のユニットを倒せるかもしれないという意外性や面白さを生みました。もちろん、それにはアクションの腕が必要で、意外と攻撃が当てづらいバトルに勝つため、十字ボタンの操作で指を痛めるほど遊んだ人も多いでしょう。

『ガチャポン戦士』シリーズは時代とともに消え、現在『ガンダム』のSLGですと『SDガンダム G GENERATION』シリーズが主流です。さすがに『ガチャポン戦士』が今後の主流になることはないのかもしれませんが、たまには『ガチャポン戦士』ライクなゲームが出てくれると嬉しいなと思うのは筆者だけでしょうか。

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