ネイルやTシャツOK 従業員の身だしなみ基準緩和の動き 中国地方の小売業

明るい髪色の従業員が働く藤三の売り場

 中国地方のスーパーやドラッグストアで、従業員の身だしなみの基準を緩和する動きが広がっている。各社はアクセサリーやTシャツ、明るい髪色を認めるなど、柔軟にルールを見直している。身だしなみの自由化は、従業員の意欲向上や働き手の確保につなげる狙いもある。

 スーパーの藤三(広島県呉市)は3月、パート、アルバイトを対象に新しい身だしなみルールの運用を始めた。髪をまとめたり、帽子に収めたりする一定の条件で、髪色やヘアスタイルを原則自由にした。ネイルやピアス、指輪も、生鮮の担当を除いて手袋の着用などを条件に認めた。

 大柿店(同県江田島市)では、髪色を明るくするなど6人が新たな身だしなみで働いている。髪に赤を入れたパートの船谷里紗さん(35)は「前から染めたいと思っていた。うれしくてモチベーションが上がる」と喜ぶ。

 藤三は多様性のある職場を目指すとともに、従業員の採用や定着につなげたい考えだ。人事教育課の熊谷弘範課長は「顧客からどんな声が出るのか心配はあったが、今のところ批判は聞かない。社内から意欲につながったとの声を聞き、安心した」と話す。

 熱中症予防など健康に配慮した服装を取り入れたのが万惣(広島市佐伯区)だ。夏服に切り替わる5月から、全従業員のクールビズの基準を変えた。これまでは白を基調にした襟付きシャツの着用を求めていたが、グレーや紺、黒のTシャツも認めた。チノパンやデニムも採用した。同じタイミングでマスクの着用も任意にした。

 万惣は「真夏の熱中症対策という側面もある。チノパンやデニムは洗濯も楽になる」と説明する。秋以降も、ネクタイを任意にするなどの変更を検討しているという。

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