両社とも売上高・営業利益が過去最高 工場施設向けなどが堅調に推移

__三和ホールディングス、文化シヤッターの2社の決算は、非住宅を中心にスチールドアや重量シャッターの数量が増加し、好調に推移。
売上高、営業利益が過去最高となった。また、メンテンナンス事業も堅調で、今後の注力ポイントとなりそうだ。__

三和ホールディングスの24年3月期連結実績は、売上高6111億700万円(前年同期比3.9%増)、営業利益653億6000万円(同16.1%増)の増収増益。売上、各利益ともに予想を上回り過去最高を更新、営業利益率に関しては、同10.7%と目標であった2桁台の営業利益率を達成した。

背景には海外事業での為替の影響も大きく、売上高は前年度から229億円増額しているが、これには為替の影響252億円が含まれるため、実質は減収。

セクター別にみると、日本では、工場建設や大型再開発案件でビルマンションドアや間仕切りが伸長。材料費の高騰を上手く価格転嫁に反映できたとする。海外では、アジアにおいて特に香港や台湾でのビジネスが好調で、増収増益を確保した。一方で、米国は住宅市場低迷による数量減で現地通貨ベースでは減収となった。現地市場の影響で販売価格も下落傾向にあったが、コスト削減策などを推し進め、利益を出すことができた。

25年3月期の連結決算は、売上高が前年同期比2.3%増の6250億円、営業利益が同4.4%減の625億円の増収減益を予想する。国内では、引き続き工場や倉庫建設による数量増が見込めるとする一方で、米国の販売価格の下落インパクトが大きく減益要因となる見込み。

重点事業では、サービス事業が23年度に売上高799億円と全体構成の13%を担う規模に成長、日本では一般修理、定期メンテが堅調であり、今後、法定検査の定着に注力する。欧州でも体制の再構築などが奏功し、厳しい事業環境下において22年、23年で2ケタ以上の伸びを示しているという。また、IoT連携や環境対応といった現代のニーズに合わせた商品の拡充にも力を入れ、住宅向けではスマートフォン操作システム「RemoSma」の拡充のほかリモート監視機能などの対応も検討する。

なお、営業利益率は10%と2桁の維持を目指す。

文化シヤッターの24年3月期連結実績は、売上高2210億7600万円(前年同期比11%増)、営業利益144億7200万円(同49.4%増)の増収増益。売上、営業利益ともに過去最高となっている。

シャッター関連製品事業、建材関連製品事業では、大型物流倉庫や大型商業施設に向けた重量シャッターやスチールドアなどが堅調に推移し売上、利益を伸ばした一方で、リフォーム事業については、住宅用リフォームが低調となり、前年同期比6.2%減の売上で、1700万円の営業損失を出した。

また、販売数量の増加とともに、サービス事業の好調が、全体での増収要因となった。

25年3月期の見通しは、売上高が前期比4.0%増の2300億円、営業利益が同3.6%増の150億円とした。セグメント別では、23年度でマイナスとなったリフォーム事業含め、すべてのセグメントで増収増益を目指す。

住宅では、住宅高断熱化による空間の大空間化が室内階段需要を後押ししており、主要都市限定で行っているハウスメーカー向けのアフターメンテナンス体制を全国対応に拡充、環境配慮商品として、オーニングや換気採光窓シャッターとの複合販売を提案していく。

***

国内の非住宅事業の後押しで、好調な業績を納めたシャッター業界。メンテナンス需要も期待ができる。住宅市場は先行きの不透明感が残るが、環境配慮やIoTなどを軸に商品、サービスの拡充が図られそうだ。

© 創樹社