国東半島の「六郷山」新たに国史跡に指定へ 文化審議会が文科相に答申【大分県】

谷筋に沿って伽藍が横に並ぶ天念寺。毎年、修正鬼会が開かれている=豊後高田市(市教委提供)
臼杵磨崖仏の中世仏堂遺構=臼杵市(市教委提供)
大友氏遺跡の推定御蔵場跡。大友館に隣接する公的空間と考えられる=大分市(市教委提供)
里官衙遺跡の発掘現場。4棟の掘っ立て柱建物跡を確認した=大分市(市教委提供)

 国の文化審議会は24日、国東と豊後高田両市にまたがる「六郷山(ろくごうさん)」を国史跡に指定するよう、文部科学大臣に答申した。両子山から放射状に延びる尾根と谷筋に点在する寺院と集落の姿を色濃く残しているという。県内の国史跡(特別史跡含む)は計47件となる見込み。臼杵市の国特別史跡「臼杵磨崖仏」関連の中世仏堂遺構、大分市の国史跡「大友氏遺跡」「里官衙(かんが)遺跡」の一部区域については追加指定を求めた。

 【六郷山】国東半島の天台宗寺院や岩屋の総称。12世紀前半に成立した。山の斜面を縦に登る参道がある「山の寺」を代表する岩戸寺(国東市)と、長安寺、谷筋に沿って伽藍(がらん)が横に並ぶ「谷の寺」代表の天念寺、夷岩屋(いずれも豊後高田市)の各境内を指定する。

 【臼杵磨崖仏附(つけたり)日吉塔嘉応二年在銘五輪塔承安二年在銘五輪塔】深田・中尾地区にある古園石仏の前庭部にあった中世仏堂遺構を追加指定する。面積は510平方メートル。発掘調査で12~15世紀に存在した礎石建物跡を確認した。

 【大友氏遺跡】戦国大名大友氏の領国支配の拠点となった遺跡。地権者の了解を得た1303平方メートルを追加する。唐人町跡は多様な国籍や職掌を持つ人々が暮らしていた。推定御蔵場(おくらば)跡は大友館に付帯する特別な公共空間とみられる。

 【里官衙遺跡】飛鳥~奈良時代の遺跡。豪族の居宅から役所へと変遷した歴史を知ることができる。1907平方メートルを追加する。7世紀後半~8世紀前半の建築とみられる掘っ立て柱建物跡4棟が確認され、コの字形に配置されていた。

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