【千葉魂】野球は夢にまで出る 24時間考え巡らす吉井監督 千葉ロッテ(第424回)

吉井理人監督

 6月15日のドラゴンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)の勝利で監督通算100勝を達成した吉井理人監督は、次のようなコメントをメディアを通じて伝えた。

 「試合が終わって、少しずつここまでの積み重ねの実感が湧いてきました。すべてはワシではなく選手、スタッフ、チームに関係する皆さまの頑張りの積み重ねによって達成することができたと思っています。本当にありがとうございます。これからもワシが頑張っている皆さまの邪魔をすることがないようにして、ファンの皆さまのためにマリーンズの白星を積み重ねていきたいと思います」

 監督になって2年目のシーズン。毎日、朝から夜までチームのことを考えている。勝ち負けの責任を一身に負う監督業は激務だ。6月7日のカープ戦(マツダスタジアム)では大瀬良大地投手にノーヒットノーランを許した。昨年は山本由伸投手(当時バファローズ、現ロサンゼルス・ドジャース)。2年連続の屈辱だった。

 翌朝も悔しそうに球場入りをした。練習を見るため、ベンチに腰を掛けると「昨日、夢を見た」と自ら話を切り出した。前日の試合の夢だった。「普段はめったに夢の記憶はないのに、鮮明に覚えている」と苦笑いを浮かべた。

 夢はノーヒットノーラン達成直前、岡大海外野手がライト前にヒットを放ち、記録達成を阻止。その後、逆転をしたというものだった。安堵(あんど)したのもつかの間。夢から覚めた。「最近はよく野球の夢を見る。選手の時はほとんどなかったけど、監督になってからは増えた」という。プロ野球の監督という仕事は寝ている時も野球のことを考えている。過酷なポジションである。

 監督2年目のシーズンはここまで5月から6月にかけて11連勝はあったものの首位ホークスとゲーム差は大きく、苦悩の日々が続いている。1軍練習前は2軍戦を映像で確認するなど戦力を見極め、監督室に設置されている試合の日程の書かれたホワイトボードをにらみながら、今後の戦い方に頭を巡らせる日々だ。遠征先でも外出することはほとんどない。ひたすら部屋にこもり、チームをよくするためにはどうすればいいか考え悩む。

 「選手の時には分からなかったことばかり。いろいろとやること、考えることがある。自分が現役時代やコーチ時代にお世話になった監督の皆さまに『ワガママでごめんなさい』と謝りたいくらい」と頭をかく。

 今季は66試合を終え、前半戦は残り22試合。一つでも多く勝ち、少しでも首位とのゲーム差を縮め、反転攻勢をかけるべく頭を巡らせる。選手と積極的にコミュニケーションをとり、さまざまな意見を見聞きし、取り入れ、策を考える。今年のチームスローガンは『自分たちを超えてゆく。』。昨年、シーズン2位だったマリーンズは当然、リーグ優勝を目指す。指揮官はこれからも24時間、野球のことを考える毎日を続ける。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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