申ジエはパリ五輪代表入りならず あと2勝の“永久シード”に照準「わたしのゴルフは終わりじゃない」

申ジエが五輪への思いを吐露した(撮影:南しずか)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日◇23日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

し烈な「パリ五輪」日本代表争いも決着を迎えたが、日本ツアーを主戦場にする“ベテラン”も、パリ行きを逃した。申ジエ(韓国)が今大会で予選落ちを喫し、更新された世界ランキングは27位。トップ15に入れず、自身初の五輪代表入りは叶わなかった。

昨年の日本ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を終えたとき、ジエはパリを目指すことを明言した。「来年(2024年)はパリ五輪がある。世界ランキングも上がってきたし、一度くらいは五輪に出たい」。当時15位だった世界ランキングを維持、もしくは上げていくことでその切符をつかもうとスケジュールを立てた。

今季は序盤から日本ツアーの出場をセーブし、獲得ポイントの高い海外ツアーに積極的に参戦していた。だが、世界ランキングは下降していき、逆転はならず。韓国代表はコ・ジンヨン、キム・ヒョージュ、さらに今大会でメジャー初優勝を飾ったエイミー・ヤンが滑り込み、この3人に決定した。

予選ラウンドは「75」、「78」として、代表入り逆転に向けての“第一条件”でもある予選通過を逃した。「いままでやってきた今年の前半が大変で、それが今週まで続いた。今週だけの結果ではないですね」。パッティングに苦しみ、「(パターが)わたしに優しくなかったです(笑)。グリーンのクセもあるし、自分が悪いところもあった。うまく合わなかったから、この結果になったのかな。重い空気が最後まで続いた」と2日間を振り返った。

決意を明らかにしてからこの日まで、五輪への思いを抱きながらおよそ半年間の時間を過ごした。「結果は残念。でも周りから多くの応援をもらったので、一人じゃない気持ちで頑張れました。(五輪は)行けなかったけれど、これから日本に戻って、永久シードを目指したい。これでわたしのゴルフは終わりじゃないですから」。

日本ツアーに本格参戦して、今年で11年目になる。「日本は家に戻った感じでラクです。みなさんのいい笑顔を見ながら、わたしも笑顔でプレーしたいです」。永久シードまであと2勝。今季ここまで、日本ツアーに出場したのはわずか5試合。前半戦はあまり出場できなかったため、女王争いにもビハインドを背負っているとも感じているが、「体を管理しながらスケジュールを組みたい」と最終戦まで駆け抜けるつもりだ。

次週はすぐに「資生堂レディス」に出場。メジャー大会としては、「アムンディ・エビアン選手権」はスキップして、「AIG女子オープン」(全英)に出る予定だ。ゴルフの聖地、セント・アンドリュースでの開催。「まえにプレーしたけれど、これからどれくらい現役でできるか分からないから(笑)。チャンスがあるときは行きたいし、ゴルフの歴史があるところにいられるのは光栄。その気持ちで行きたいです」。12年大会を制した歴代覇者は、今年もその場所に立てることを楽しみにしている。

ちなみに、4年後の28年「ロサンゼルス五輪」について尋ねると、「その時はもう40歳ですよ」と笑った。「もちろんチャンスがあれば狙いますけど、いま一番大事なのは、今年の前半戦の経験を忘れずに、勉強を生かすこと。いいチームもいるので、一生懸命頑張ります」。ホームに戻り、史上7人目の永久シード獲得という偉業達成へ。ジエのゴルフ人生はまだまだ続く。(文・笠井あかり)

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