スコアブックが語る 広島カープ ヒストリー 過去の6月24日 雨ニモマケズ…

RCCには「スコアブック」といわれる、その日のワンプレーが刻まれた記録が残されている。広島カープの試合ごとにどの選手が何をやったか、スタッフがつけ続け、半世紀以上にも及ぶ。過去の6月24日を振り返ってみると、雨の季節、思い出に残る試合があった。

2016年6月24日 広島 vs. 阪神(マツダスタジアム)

石田充 アナウンサー
今から8年前の6月24日、カープは降りしきる雨の中、阪神戦。2-2で迎えた8回ウラ、2アウト・ランナー2塁・1塁で代打・新井貴浩(当時39)、対するは阪神のセットアッパー、メジャー帰りの 藤川球児(当時35)との対決がありました。

初球はストレート。見逃してストライク。そして、2球目は高めの球を空振り。あっという間に新井さん、追い込まれてしまいました。

その後、1ボール、2ストライクとなり、迎えた4球目でした。

代打・新井、勝ち越しタイムリースリーベース

実況 石橋真 アナウンサー
「1ボール、2ストライク。投球、4球目。第4球を新井に投げました。打ちました。センター返し、右中間を完全に破っていく。ど真ん中、右中間を破っていく。今、セカンドランナー、勝ち越しのホームイン。新井は滑り込んで3塁へ。今、両手で大きな拍手をベンチに送り、みずからもたたいています」

新井さんのバットでカープが2点リード(広島 4-2 阪神)。そして、9回には守護神の 中﨑翔太 がマウンドへ。しかし、ここにきて雨脚が強くなります。

たまらず、当時の 緒方孝市 監督が、審判団に少し話をしに行きます。そして、中断をはさみ14分後、試合終了。カープはこれで7連勝。その後、11まで連勝を伸ばし、25年ぶりの優勝へ弾みをつけました。

2017年6月24日 広島 vs. 阪神(マツダスタジアム)

続いては、7年前の6月24日、この日も雨のマツダスタジアムでした。3-3の4回ウラ、満塁のチャンスで 菊池涼介が粘った末に押し出しフォアボール。1点をカープが勝ち越します。

すると、カープの 丸佳浩 。初球をたたくとレフトへの犠牲フライ。4回のウラにカープ、2点のリードを取ります(広島 5-3 阪神)。

あともう少しでゲーム成立なんですが、雨が強くなりました。なんと中断が1時間あった後、雨天中止ノーゲームに…。すると…

RCC野球解説者 安仁屋宗八 さん
「もうちょっと気を利かして、早く終わってほしかったですね」

実況 石橋真 アナウンサー
「もちろん主役は選手ですけども、それ以上にお客さんがあってのプロ野球だったりもしますし…。あっ、今、ちょうど1塁ベンチから出てきたのは…」

安仁屋宗八 さん
「(笑)上本(崇司)ですね」

実況 石橋真 アナウンサー
「でも、ユニホーム『新井』ってなっていますよ」

安仁屋宗八 さん
「新井のユニホームを借りてるんですよ」

実況 石橋真 アナウンサー
「新井選手のユニホームを借りた上本選手(当時26)…」

安仁屋宗八 さん
「そう。ダボダボじゃないですか」

実況 石橋真 アナウンサー
「カープの上本選手が出てまいりました。ちょうど今、バッターボックス付近に赤いシートが敷かれています。それ以外はシートは敷かれていません。どうやら最後まで残ってくれたお客さんにパフォーマンスを行いそうです。この放送時間もマツダスタジアムからあと2分となっております」

「あっ。もう、しっかりと新井選手のバッティングフォームのものまねも含めてやっています。上段に構えて、今、バッターボックスには背番号25・新井選手のユニホームを借りて上本選手。1球目、見送りました。見送り方、どうですか?」

安仁屋宗八 さん
「(笑)いいですよね。よく研究してますよ」

実況 石橋真 アナウンサー
「研究してますか? ちょうど新井選手のサングラスといいましょうか、スポーツゴーグルをかけていますね。内股気味に構えるスタイルですね。さあ、第2球目。打って、おっ! 大きなスイングは…、レフトスタンドに向かって伸びて、伸びて…」

安仁屋宗八 さん
「ホームランですね」

実況 石橋真 アナウンサー
「いやあ、ホームラン! さあ、1塁キャンバスを蹴りました。ガッツポーズを見せました。今、2塁を回って3塁に向かっていきます。あっ、二三塁間でガッツポーズが出ました。去年(2016年)の8月、サヨナラヒットを放ち、節目となった新井選手のサヨナラヒットのポーズが出ました」

「最後、ホームは…、ヘッドスライディング!」

安仁屋宗八 さん
「セーフですね」

実況 石橋真 アナウンサー
「セーフでしたか、はい(笑)」

◇ ◇ ◇

石田充 アナウンサー
というわけでダイヤモンド1周してセーフになった上本崇司選手、新井さんのものまねをしたという、雨天ノーゲームのあとのパフォーマンスでした。

田村友里 キャスター
盛り上げてくれますね。

石田充 アナウンサー
先輩のものまねって、けっこう勇気が要ると思うんですけども…

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
勇気が要るんですけども、あそこでできてしまうのが、やっぱり上本選手のよさなんです。

青山高治 キャスター
あれだけの尺を使ってやれるじゃないですか(笑) 短めとかじゃないですもんね。

石田充 アナウンサー
1時間の中断があったので、ファンもだいぶ待って、待って、待って、どうなるのかなっていうところである意味、なにかやるなら期待値がそうとう上がっている中で「やっぱり最後まで残ってよかったな」と思えるようなパフォーマンスだったと思います。

天谷宗一郎 さん
放送終わるまで残り2分って言っていましたけど、しっかりと入ったということですか?

石田充 アナウンサー
入っていました。

天谷宗一郎 さん
すごい。テレビのことまで考えてくれているのか。

石田充 ナウンサー
ラジオです。

田村友里 キャスター
ダボダボのユニホームがよかったですね。

青山高治 キャスタ
新井さん公認ってことですね(笑) あれを借りている時点で。

石田充 アナウンサー
あれから7年経って、監督とそれを支える立場になった33歳の上本選手。先日からまた1軍に戻って、パフォーマンスだけじゃなくて、もちろん1軍の公式戦でね…

天谷宗一郎 さん
もちろん、戦力としてまだまだチームを引っ張っていってもらわなきゃいけないですよね。

石田充 アナウンサー
新井カープを支える頼もしい男が戻ってきましたから25日から地元でヤクルト戦。しっかりと戦いを見せてほしいと思います。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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