赤楚衛二『Re:リベンジ』で迷走 物足りない『9ボーダー』松下洸平 『366日』の眞栄田郷敦も…最旬俳優の微妙評価

赤楚衛二・眞栄田郷敦・松下洸平(C)ピンズバNEWS

豪華キャストや設定かぶりなど、なにかと話題が多かった春ドラマも、ほとんどが最終回を迎えた。今期も赤楚衛二(30)、松下洸平(37)、眞栄田郷敦(24)という最旬の俳優たちが楽しませてくれたが、中には期待外れに終わった作品も少なくない。

まずは、赤楚衛二主演の『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系/木曜よる10時)。日本屈指の巨大病院を舞台に、“野心”と“復讐心”が入り乱れるリベンジサスペンスだ。視聴率的に物足りない世帯4%台の数字で終わったが、いちばん物足りなかったのは主演の赤楚だろう。新境地とうたっていた悪役っぷりに期待したが、がっかりな役に終止した。

赤楚が演じる主人公・天堂海斗は、日本屈指の巨大病院・天堂記念病院の元理事長の息子。殺害された父親との大切な約束を果たすため、巨大病院と闘うことを決意する。しかし、医師・大友郁弥(錦戸亮/39)との出会いと、巨大病院で巻き起こる権力争いをきっかけに、人生が大きく狂い始める。

海斗による復讐劇が期待されたが、自己保身のために大友の足を引っ張るばかり。クズ発言の連発は一部ファンこそ喜んでいたが、迷走する闇落ちキャラを批判する声が多く、錦戸に思い入れする人が続出。脚本、演出に従ったといえばそれまでだが、新境地と言うにはものたりない出来だった。ここのところ、赤楚は出演ドラマが低視聴率で終わっているが、そろそろヒット作がほしいところだ。

■もやもやが残った松下洸平

続いて、川口春奈(29)主演の連続ドラマ『9ボーダー』(TBS系/金曜よる10時)は、ボーダー(各年代の“大台”を迎える前のラストイヤー)を越えて、自分の生きる道を模索していくヒューマンラブストーリー。松下洸平は、記憶を失っている謎の青年・コウタロウを演じ、中盤過ぎまで期待通りの甘い言葉を連発。ファンを喜ばせていたがーー。

コウタロウが記憶喪失だということもあるが、だんだん“癒やし”を主人公・七苗(川口)に供給するマシーンのような存在に。松下の使い方としては正しいだろうが、ストーリー展開に貢献することは少なく、どうにも物足りない役柄だった。

終盤、コウタロウの正体が芝田悠斗だとわかり、彼の婚約者・酒井百合子(大政絢/33)が現れてからは、松下は複雑な感情を表現するようになり、キャラにも深みが出てきたが時すでに遅し。もっと早く婚約者があらわれていれば、さまざまな松下洸平の演技を楽しめたのだろうが、残念だ。

最後は、広瀬アリス(29)主演の月9ドラマ『366日』(フジテレビ系/毎週よる9時)で、高校時代、お互いに片思いをしていたが、思いが通じ合うことはなかったという、雪平明日香(広瀬)と水野遥斗(眞栄田)の、切なくはかない恋の物語。同級生たちの群像劇の側面もあったが、そこがネックになったかもーー。

■回想が多すぎた眞栄田郷敦

メインの2人以外に同級生たちの描写も多かったため、記憶を失ってから、遥斗(眞栄田)の気持ちがどう変化していったのかという描写が少なく感じた。それもあり、最終回で遥斗がヒロインに別れを告げてから、もう一度付き合おうとなる理由が分かりにくい。ハッピーエンドで終わったのに、もやもやが残る物足りない最後だった。

相手に向けるまなざしや声など、眞栄田郷敦のナチュラルな演技が高評価を受けているだけに、繰り返し描かれた高校時代に加え、現在の遥斗と明日香の想いを描くシーンが、もっとあったほうがよかったのではないだろうか。

脚本や演出の都合もあり、不完全燃焼に終わった感じが強い、最旬俳優の3人。演技の評価は変わらず高いだけに、今後の活躍に期待したい。(ドラマライター/ヤマカワ)

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