「スターライナー」宇宙船、ISSからの帰還日程がふたたび延期に

Image:NASA

現在、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中のボーイング「CST-100 Starliner」宇宙船の帰還日程が、7月2日以降に再延期された。当初の帰還予定日は6月14日だったが、機体に発生したトラブルのために延期されていた。今回の延期は、6月24日と7月2日に予定されている船外活動(EVA)が終わるのを待つためとのこと。

Starlinerは6月5日に初の有人試験飛行のため打ち上げられたものの、ISSへのアプローチの際に、28基あるスラスターのうち5基が正常に動作しない問題が発生した。ドッキングは2度目の試行で成功したものの、その後打ち上げ前に見つかっていたヘリウムガス漏れが、新たに4か所で発生していることもわかった。

NASAとボーイングは、このミッションは試験飛行であるため、予定されたスケジュールを守ることが最優先事項ではないとし、常に予測不能な事態が発生する可能性があると繰り返し強調してきた。このミッションのクルーであるバリー・ウィルモア飛行士とスニ・ウィリアムズ飛行士も、打ち上げ前に同様のことを述べていた

帰還日程の延期が繰り返されると、Starliner宇宙船に重大な問題があるのではないかとも思えるが、ナッピ氏によると、この有人試験飛行における87の試験項目のうち77はすでに達成済みであり、のこりはISSからの離脱と帰還時に評価される予定だという。また、NASAの商業乗組員プログラムの責任者スティーブ・スティッチ氏は、スラスターに発生した不具合やガス漏れなどの不具合に関しては試験飛行が完了した後、その次に予定される商用有人飛行ミッションである「Starliner-1」までに完全に取り除く計画であり、すでにいくつかのアイデアが浮かんでいるとした。

クルーは、延長されたISS滞在の時間を利用し、Starliner宇宙船の電気系統と燃料タンクを含むサービスモジュールの機能チェックを進めており、その中にはサービスモジュールのバルブが「適切に閉まっていない」という問題の調査も含まれているという。なお、ボーイングの商業有人飛行プログラム責任者であるマーク・ナッピ氏は、ドッキング前に不具合のあったスラスターは「ほぼ機能しているようだ」とし、ヘリウム漏れについても「以前の測定値よりは減少している」と述べた。ちなみに、ISSには十分な物資があり、2度のEVA以降はスケジュール的にも8月中旬まで比較的余裕がある状況だ。そのため、Starlinerのクルーは無理に帰還を急ぐ必要はないとのことだ。

現在のところ、Starliner-1ミッションは2025年初頭に計画されている。このミッションは通常どおり6か月間にわたり、少なくとも3人の宇宙飛行士をISSに滞在させる予定となっている。

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