2年ぶりにウインブルドンへ出場のラドゥカヌが語る聖地への思い「母国選手としてプレーするのは信じられないほど素晴らしいこと」<SMASH>

女子テニス界のニューヒロインとして注目を浴びている元世界ランク10位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/現168位)が、自身がブランドアンバサダーを務めるドイツの大手自動車メーカー「ポルシェ」のインタビューに登場。来週母国で開幕する今季3つ目の四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝コート)に向けた意気込みを口にした。

両手首と足首のケガを克服し、今年1月に約9カ月ぶりのカムバックを遂げたラドゥカヌ。復帰後も苦戦が続いていたものの最近は徐々に復調しており、4月の「ポルシェ・テニス・グランプリ」(ドイツ・シュツットガルト/WTA500)ではベスト8へ進出。しかし予選から出場予定だった先の四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ)は「今年の残りに向けてしっかりと調整したい」という理由で欠場し、一足早くクレーシーズンを終えていた。

芝シーズンも終盤を迎えているテニスツアー。ラドゥカヌは先々週行なわれた「ロスシー・オープン」(イギリス・ノッティンガム/WTA250)に本戦ワイルドカード(主催者推薦/WC)で参戦し4強入りを果たしていた。今週は最後のウインブルドン前哨戦として「ロスシー国際」(6月24日~29日/イギリス・イーストボーン/WTA500)に臨む。現地25日の1回戦では、元世界3位のスローン・スティーブンス(アメリカ/現45位)との注目の対決を迎える。
そんなラドゥカヌにとって聖地ウインブルドンは、当時18歳で出場した2021年にベスト16入りを果たした思い出の舞台。ちなみに同大会で16強に進出したイギリス人女子選手は現時点でラドゥカヌが最年少である。数々のケガを乗り越えた期待のニューヒロインは、140年以上もの長い歴史と伝統を誇る神聖な母国の大会で、プレーできる喜びを興奮気味にこう表現した。

「昨年は出場を逃したウインブルドンは今最も楽しみにしている舞台。(無事)復帰した今回は、22年大会よりも良い状態でプレーできることを楽しみにしているわ!」

また特別な雰囲気を醸し出すウインブルドンのトーナメントとしての存在意義をラドゥカヌは次のように語る。「私にとってはあの大会は、常にきれいな芝のコートや、象徴的な白のドレスコードといった豊かな歴史と伝統という点に意義があると思うし、全てのプレーヤーが優勝を夢見ている」

「コートは本当に清潔で美しい。ウインブルドンに伴う美学と伝統は他に類を見ないと思うわ。イギリス人選手としてプレーするのは信じられないほど素晴らしいことで、その雰囲気は言葉では言い表せない」

その上で「私は特にコート1が大好きなの。ファンが一緒になって盛り上がってくれるし、全ての要素と相まって、良いパフォーマンスをするためのさらなるモチベーションを生み出してくれる」と聖地への思いを明かしたラドゥカヌ。2年ぶりに帰ってくるあの美しい芝のコートでどんなプレーを見せてくれるのか期待したい。

文●中村光佑

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