【特集】ポツンと一軒宿が復活!災害を乗り越え2年ぶりの営業再開へ【新潟・胎内市】

胎内市にある山奥の一軒宿「奥胎内ヒュッテ」

休業が続いていた胎内市にある山奥の一軒宿「奥胎内ヒュッテ」。度重なる災害を乗り越えて、2年ぶりに再開を目指す姿をカメラが追いました。

胎内市内から車で約1時間、山奥へと続く細い道を走ると、ポツンと一軒の宿が現れます。
〝奥胎内ヒュッテ〟です。飯豊連峰を目指す登山客や、山奥でゆったりくつろぎたい人たちの宿として人気を集めています。しかし、落雷による設備の故障やヒュッテに向う一本道が崩落したことで、2年近く営業ができませんでした。

運営するのは「株式会社胎内リゾート」。胎内市が出資する第三セクターで、奥胎内ヒュッテのほか、胎内スキー場などを運営しています。

4月1日、再開に向けて胎内スキー場の準備事務所で宿泊客の予約を開始しました。営業再開の目標は6月14日。しかし、施設は長く続いた休業で、深刻なダメージ受けているといいます。修繕が間に合わず、営業開始が遅れる可能性もあることを告げながら受け付けたところ、午後には予約が20件を超えました。

■広報担当 守屋あかねさん
「かなり好調ですね。こんなにも予約が入ってくるとは思っていなかった、ありがたいですね。」

冬を越したヒュッテの状況が気がかりですが、県道の冬季閉鎖が続き見に行けません。
■樋口透支配人
「不安はある。ヒュッテに上ってみないと環境がどうなっているか心配。」

5月9日、ようやく県道の通行許可が下りました。守屋さんも半年ぶりにヒュッテに向います。
■広報担当 守屋あかねさん
「無事にオープンできたらいい。それを祈るばかりです。」

スキー場から山道を30分走り、ヒュッテに到着です。
■広報担当 守屋あかねさん
「懐かしいな。このテラスが一番好き、働きながら癒されています。レストランに行くとテラスが見えて、ここからの景色が素敵で帰ってきたと実感が湧く。」

早速、大好きな景色をSNSで発信します。
一方、建物の被害は深刻でした。大浴場に向かう通路の天井がカビで真っ黒に。落雷の影響で空調が止まったのが大きな要因です。
■樋口透支配人
「6月14日から営業。」
■業者
「6月の14日営業ですか。何とか手配できると思う。」

2022年の落雷による停電で休業が続く中、去年の春にはヒュッテに向う唯一の道路ののり面が崩落して通行止めに。その半年後には道路は復旧したものの、11月から冬季閉鎖になるため営業を断念。約2年間、休業が続きました。
そのままになっていた冬囲いの撤去作業も、ようやく始まりました。オープンまでの1カ月間。手分けをして徹底的に館内を磨き上げます。

この日は、土日限定のランチメニューの試作と撮影が行われました。メニューは、サーロインステーキと蒸した魚のスズキのプレート。山の中で本格的な洋食を味わえるというのが、ヒュッテのコンセプトです。
■樋口透支配人
「これで行きましょう。」

大浴場に続く通路のカビも取り除かれ、休業前の姿によみがえりました。
営業再開。チェックイン一番乗りは、10年来という常連の夫婦です。
■常連客夫婦
「妻:いつかいつかと待っていました。(災害なので)仕方がない。」
「夫:何にもないこと。」
「妻:Wi-Fiもここに来ないと繋がらない。」
「夫:ケータイも繋がらないし部屋にテレビもない。」

守屋さんは、「おかえりなさい」という気持ちで宿泊客を出迎えました。
■常連客
「オープンを楽しみに待っていました。」
■広報担当 守屋あかねさん
「『待ってました』という方が沢山いらっしゃって、『初日に来られて嬉しい』という言葉をもらってはじまったばかりなんですけど、感無量です。」

ブナの森に囲まれたヒュッテ。夏はバードウォッチングの季節です。アカショウビンやコノハズクなどの珍しい野鳥との出会いを楽しみに、全国から愛好家が集まります。
県道が冬期間閉鎖になる11月まで、守屋さんはSNSを中心に奥胎内の魅力を発信します。

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