空一面を覆い尽くす、おびただしい数の黒い鳥。
千葉・市川市で撮影されたカワウの大群です。
今、このカワウが、市内の一部にすみ着き、住民を悩ませています。
問題の現場では、下から見る限りでも50羽以上が確認でき、異様な光景となっていました。
カワウの体長は80cmほど。大群がとまる樹木には、いくつもの巣があり、カワウたちがこの場所をすみかにしていることが分かります。
無数のカワウがすみ着いたのは、千葉・市川市にある「行徳鳥獣保護区」。
県の自然保護課によると、約1万羽のカワウが生息しているといいます。
その保護区内の樹木を見てみると、ところどころが真っ白。
これらは全てカワウのふんで、枝葉は枯れているように見えます。
今、周辺住民を悩ませているのが、この悪臭被害です。
保護区近くの電線にとまる無数のカワウ。
その下を歩いてみると、生臭く魚が腐ったようなにおいがして、歩道は一面真っ白、生け垣の葉っぱも白く染まっています。
この状況に、住民たちは「やっぱり通りがほとんど通れないくらい臭いがひどい」「臭いがキツイ。この瞬間だけちょっと息をなるべくしないように歩いている」などと話し、うんざりしている様子。
住民の多くは、カワウがとまる電線の下ではなく、反対側の通りを歩いていました。
これだけ被害を大きくしている要因は、常に群れで行動するその習性にあります。
1つの場所に数えきれないほどのカワウが止まるため、その一帯に悪臭被害が集中しているのです。
住民は「(清掃は)もう追いつかないのが現状なのかと思う」と話します。
県は保護区内の生息数を抑制するため、毎年樹木を伐採したり、別の場所にカワウを誘導したりしていますが、それでも生息数は2022年から1万羽前後で推移しているのが実情です。
県の担当者は、2024年度も保護区内の樹木を伐採する計画で、実施期間は検討中としています。