衝撃事実! 老化の第1波は34歳でやってくる⁉ 見た目年齢を決めるペース・オブ・エイジング(PoA)とは?

By FYTTE 編集部

同じ年齢なのに“若く見える人”と“老けて見える人”…この差はどこから来るのでしょうか? じつは、若見え・老け見えには老化速度「ペース・オブ・エイジング」(PoA)が関係しているそう。近年、研究が進み明らかになってきたこのエイジングの新しい概念について、イシハラクリニック副院長・石原新菜さんとビューティーエディター・藤井優美さんが登壇したウェルネス総合研究所のセミナーに参加してきました。老け見えを予防するヒントをお伝えします!

同じ年齢なのに1年で老化が6倍進む人も!

※グラフ:ウェルネス総合研究所 ペース・オブ・エイジング普及プロジェクトサイトより
https://wellnesslab-report.jp/pj/poa/about-poa.html

ペース・オブ・エイジング(Pace of Aging:PoA)とは、老化が進む速さのこと。そして老ける速度というのは、人によって異なることが2021年に発表されたニュージーランド・ダニーデン地方の研究でわかってきました。この研究によると、同じ年齢の人でも1年間に0.4歳しか歳をとらない人と、2.44歳も年をとる人がいることが証明されたそうです。つまり、同い年なのに1年間で3歳分も差がつくということ。なんとその老化速度の差は6倍!

「生物学的な年齢では、365日で必ずしも1歳分歳をとるとは限りません。同じ年齢だとしても、老化速度の速い人は将来的な見た目が20歳分、30歳分老けて見える場合があるということです。また70歳以上の双子1826人を対象にしたデンマークの研究では、同じ遺伝子をもっていても老け見えして見える人が先に亡くなる確率が高いということも証明されています。見た目の若さは体のなかの若さとつながっているので、老化速度は日頃の生活環境や運動習慣に左右されているということがわかります」(石原さん)

新事実! 老化は〈34歳〉で最初のピークを迎える

※グラフ:ウェルネス総合研究所 ペース・オブ・エイジング普及プロジェクトサイトより
https://wellnesslab-report.jp/pj/poa/about-poa.html

見た目の若さが寿命に比例しているのなら、できるだけ老け見えしないように気をつけたいところですが、じつは老化の第1波は34歳でやって来るそう。

「アメリカのスタンフォード大学の研究で18~95歳までの4,263人を対象に血液中にある2,925種類のタンパク質を分析したところ、老化の原因となるタンパク質は34歳で一度増加することがわかりました。その後、60歳・78歳のときにそれぞれ第2波、第3波がやって来て、老いを感じるピークは人生で約3回。じつは30代で最初のピークを迎えるのです」(石原さん)

ビューティーエディターの藤井さんも30代半ばに感じた体の変化について、自身の経験をふり返ります。

「実感がある人もいると思いますが、けがの治りが遅くなったり、気力が続かなくて疲れが抜けなくなったりしてきたのがこの頃です。30歳とか32歳ではまだ20代のノリでも平気だったのに、34、35歳を迎えた頃から急にできなくなってしまって…これまでとは何かが違う。もしやこれが老けなのでは?と衝撃を受けました」

実際に、ウェルネス総合研究所の調査でも30代の男女に「老け」の兆しを感じることがあるか聞いたところ、男性の53.6%、女性の66.9%が「ある」(「よくある」、「たまにある」の計)との結果が出ています(下グラフ)。

※グラフ:ウェルネス総合研究所 ペース・オブ・エイジング普及プロジェクトサイトより
https://wellnesslab-report.jp/pj/poa/about-poa.html

老化の坂をゆるやか進むか、転げ落ちるか…その分かれ道となるカギは?

老化は一定に進むのではなく、特定の時期に急速に進行する可能性があるということ。その最初のピークが34歳にやって来ることを考えると、本来は20代、30代から老化タンパク質の発現を抑えるため、ペース・オブ・エイジング(PoA)をゆるやかにする対策をとることが重要です。

「老化速度は遺伝要因が2~3割、あとの7~8割は環境要因だといわれています。そのためペース・オブ・エイジングの進行をゆるめるには、食事をしっかり食べ、適度に運動し、質のいい睡眠をとって、ストレスをためないバランスのいい生活を送ることが何より大切。なかでもいちばん意識したいのはやはり食事ですね。栄養バランスがとれた食生活を送ることが重要です」(石原さん)

しかし“老化タンパク質”が増えやすい30代は、職場で任される仕事が増えたり、結婚・出産などでライフスタイルが変わりやすい年代。働き盛りで忙しいことなども影響し、全世代でもっとも欠食が多いほか、体型維持のためダイエットをしていて十分な食事をとらない人や好きなものばかり食べるというような偏った食生活の人も多いといいます。

※グラフ:ウェルネス総合研究所 ペース・オブ・エイジング普及プロジェクトサイトより
https://wellnesslab-report.jp/pj/poa/aging-30s.html

「栄養バランスを考えた食事をとることが難しければ、もちろんサプリメントを活用してもよいのですが、体を維持するためにはまず欠食をなくすこと。料理する時間がなければコンビニで買ってもOKです。ただし、少しでも野菜の種類が多いお弁当を選んだり、砂糖不使用の野菜ジュースを選んだりするなど、買うものの内容は変えていきましょう」(石原さん)

石原さんのオススメは、魚がメインの和食。なかでも納豆やみそ汁などの発酵食品はアンチエイジングにも効果的な抗酸化作用が高い大豆で作られていて、栄養も満点。
「みそ汁は具だくさんにすれば、野菜の栄養や食物繊維もとれて一石二鳥。腸内環境を整える食品や献立を意識するとなおよしです。しっかりと食べたうえで、足りない栄養素を補充するならビタミンA・C・Eが入ったマルチビタミンや、代謝をよくするビタミンB群、ポリフェノールやカテキンなど、抗酸化作用の高いサプリなどを選ぶとよいですね」

時間をさかのぼって若返ることはできませんが、日頃の生活習慣で老いるスピードをコントロールすることは可能とのこと。

「難しく考え過ぎず、野菜や果物を少し意識してとるだけも変わってきます。もし、もう34歳を過ぎてしまっていても、いまから始めることが大切。いちばん若いいまこのときを保てるように改善していきましょう」

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やらなければ、老いは加速する一方。今できることから一歩ずつ始め、いくつになっても若々しい見た目を目指したいですね。自分のPoA度(老化時計タイプ)を知りたい人はこちらのチェックリストにチャレンジしてみてください。
https://wellnesslab-report.jp/pj/poa/poa-measures.html

石原新菜先生

イシハラクリニック副院長
2006年帝京大学医学部卒業。同大学病院で2年間の研修医を経て、現在は父・石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。主な著書『おいしくて体に効くお酢レシピ(扶桑社)』など多数。主な所属学会:日本内科学会、日本東洋医学会

藤井優美さん

ビューティーエディター 株式会社dis-moi代表取締役
大手エステティックサロン、個人エステティックサロンのエステティシャンを経て、1992年よりフリーランスのエディター・ライターとして活動。現在は、美容雑誌をはじめ、多くの女性誌を中心に、スキンケア、メイク、ヘアケア、ボディケア、インナーケアといった美容全般の企画、構成、執筆を担当。

取材・文/番匠郁

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