広島市の給食費未納額、2700万円に増加見通し 2023年度 再び教員を介して納付催促

広島市教委が全世帯に配る給食費の支払いに関するお知らせと封筒。昨年度までの白色から、本年度は黄色に変え「重要」の文字を入れた

 広島市教委は25日、市立小や中学で2023年度の給食費の未納額が約2700万円に上るとの見通しを明らかにした。働き方改革の一環で徴収事務を学校から市教委に移し、前年度の32倍となった22年度を上回った。再び教員を介して納付を促す対応を余儀なくされている。

 市教委によると、23年度の未納額の増加要因は分析中。22年度は、23年5月末の決算時に2044万円だったが、市教委が未納者に文書送付や電話、家庭訪問で納付を求め、先月末時点で約1千万円まで減っている。

 徴収は従来、学校側が担い、14~21年度の未納額は24万~199万円で推移していた。22年度に教職員の働き方改革の一環で徴収事務を市教委に移した際、保護者側に口座引き落とし手続きなどの手間が発生。納付書や督促状を見ていない保護者もいた。日頃接する教職員が督促しなくなった影響も出たという。

 市教委は校長会と協議した上で、今年3月に未納の1181世帯に対し、担任教諭たちが児童生徒を通じて中身が分からない形で納付書などを配る対応を取った。24年度は保護者面談の際に教職員が渡す方向という。

 この日の市議会一般質問で、松井勝憲教育長は学校を通じた配布について「負担の公平性を確保する観点から、確実に納付してもらうために必要」と説明した。一方、県教職員組合の森崎賢司書記長は「業務仕分けになっておらず、働き方改革と逆行するのでは」と指摘している。

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