【独自】木更津看護学院、募集停止か 21年度、1年生の4割がパワハラで自主退学 26年3月閉校の可能性 復学予定者「学ぶ場失う」

木更津看護学院が入る建物=2022年2月、木更津市

  教員によるパワーハラスメントで2021年度に自主退学者が相次いだ「木更津看護学院」(木更津市)が、来年度の学生募集を行わない方針とみられることが25日、千葉日報社の取材で分かった。同校は募集について「現時点で見通しが立っていない」と一部認めた上で、詳細は7月以降に公表するとした。同校は信頼回復に取り組むとともに退学者の復学を受け入れてきたが、募集停止が続いた場合、26年3月に閉校する可能性がある。来年4月に復学する予定だった元学生の一人は「学ぶ場が失われるなら残念」と困惑した。

 同校は君津木更津医師会が設置する2年制の准看護師養成学校。同校によると、5月の大型連休ごろに同医師会から来年度の募集を控えるよう通知を受けた。オープンキャンパスも中止とした。現状では募集について問い合わせや資料請求に対応できない状況という。

 同校の担当者は「募集の見通しが立っていないとアナウンスしている。詳しくは7月半ばごろに医師会が開く臨時会議での決議後に説明する」と述べ、閉校については明言しなかった。一方、パワハラ再発防止策の推進など改善を進めている中で「信頼回復に努めて募集活動をしてきたのに急に判断が下った」と戸惑いも口にした。

 県医療整備課によると、昨年の復学者は1人にとどまる一方、他に2人が本年度以降の復学を検討していた。

 パワハラを理由に自主退学し、来年度に復学予定だった元学生は「復学を前提にした生活を計画していた。新しい組織になると聞き、安心して復学できると思っていたのに」と困惑。他の看護学校の受験は入学金や白衣代など、大きな負担がかかるため見送ったといい「学ぶ場が失われるなら本当に残念」と話した。

 同校を巡っては、21年度に自主退学者が相次いだことが22年2月に発覚し、第三者委員会が調査。同年12月に医師会長と当時の校長がパワハラを事実と認め、謝罪した。校長は辞職し、パワハラが認定された教員2人も退職。その後、同校は再発防止と信頼回復に努めるとともに、復学希望者を積極的に受け入れる意向を示していた。

記者会見で謝罪する当時の校長(左)と医師会長=2022年12月28日、木更津市

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