【韓国】【メガシティー構想】GTXA路線に新駅開業[運輸] 移動時間短縮、乗り換えも便利に

29日に開業する駒城駅のプラットホーム。全面スクリーンドアが設置されている=韓国・京畿道竜仁市、2024年6月20日(NNA撮影)

今年3月に開業した首都圏広域急行鉄道(GTX)のA路線(GTX—A)に29日、新駅「駒城駅」(京畿道竜仁市)が開業する。これにより、水西駅(ソウル市江南区)まで約30分かかっていた移動時間を約半分に短縮することができる。首都圏電鉄・水仁盆唐線にも乗り換えることができ、京畿道水原市方面からソウル市内への移動時間の短縮も見込まれる。【清水岳志】

GTXは、首都ソウルに一極集中する韓国の人口、経済活動を首都圏全域に広げる韓国政府の「メガシティー構想」の要として整備が進む準高速鉄道。今年3月末に最初の路線であるGTX—Aの水西—東灘(京畿道華城市)間が開通し、年末にはソウル駅とソウル市の北方・京畿道坡州市の雲井駅を結ぶ区間が運行を開始する予定だ。

今回開業した駒城駅は、城南駅(京畿道城南市)と東灘駅の間に位置する。駒城駅から水西駅まではこれまで水仁盆唐線で約36分かかったが、GTX—Aを利用すれば移動時間は約14分に大幅短縮される。水原市や華城市、竜仁市から江南への移動がさらに容易になると期待されている。

■乗り換え客の利用増見込む

水仁盆唐線との乗り換えも可能だ。水仁盆唐線はソウル市東大門区の清涼里駅から江南を通過して京畿道に入り、水原駅や烏耳島駅(京畿道始興市)を経て仁川市までをつなぐ。

そのため、駒城駅でGTX—Aに乗り換えれば、これまで約1時間かかっていた水原駅から水西駅までの移動時間を約40分に短縮することができる。

国家鉄道公団のイ・ソンヘ理事長は、開通に先駆けて開かれた駒城駅のプレスツアーで「(駒城駅の)1日の利用客は3,000~4,000人を予想している」と述べた。

駒城駅でのプレスツアーで新駅開業について説明する、国家鉄道公団のイ・ソンヘ理事長=韓国・京畿道竜仁市、2024年6月20日(NNA撮影)

■利用者停滞に懸念も

一方、3月末のGTX—A開通から約3カ月が過ぎたが、利用客が政府の予測を大幅に下回っていることに対する懸念もある。

韓国国土交通省は当初、GTX—Aの1日平均の利用者について、平日は約2万1,500人、週末・休日は約1万6,800人と試算していた。しかし、開通後1カ月の平均利用客は平日が約7,700人、週末・休日は約1万だった。政府予想と比べると、平日は約36%、週末・休日は約60%の水準にとどまる。

これについて、国交省のソ・ジョングァン首都圏広域急行鉄道課課長は「GTX—Aの中核駅となるソウル駅と三成駅(ソウル市江南駅)が開通してから、需要について正確に評価できるだろう」との見方を示した。

■各駅へのアクセス改善が課題

GTX—Aの各駅へのアクセス性改善も課題の1つだ。東灘に住むユ・ジヘさん(30代・女性)は、GTX—A開通後もソウルに行く際には路線バスを利用する場合が多い理由について、「東灘駅までバスで行って(GTX—Aに)乗り換えるよりも、自宅近くの広域バスを利用した方が移動時間はかかるが、座席に座れるので便利だから」と話した。

政府や自治体はこうした意見を受けて、各駅のバスの路線拡充に乗り出している。アクセス性が改善できれば利便性が高まり、GTX—Aの利用者も増える可能性がある。

GTXは28年までにA路線のソウル—三成間やB・C路線が開通する予定で、政府は自治体や民間企業と協力して予定通りの開通に向けた準備に万全を期す構えだ。

国を挙げた一大事業のメガシティー構想。駒城駅の開業によって、ゆっくりではあるが着実に進んでいる。

GTX—A・駒城駅の待合室。既存の水仁盆唐線からの乗り換えも容易だ=韓国・京畿道竜仁市、2024年6月20日(NNA撮影)

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