【巨人】盟友・坂本勇人を〝暴走ファン〟から守った長野久義の好プレー

通算1500安打を達成した長野を迎える巨人ナイン

巨人は25日のDeNA戦(新潟)を3―2で振り切り、貯金1とした。勝負を決めたのは代打で出場し、プロ通算1500安打を達成するとともに貴重な適時打を放った長野久義外野手(39)だ。誰からも愛され、周囲への気配りを忘れないベテランは盟友を守るべく自ら「人柱」と化したこともあった――。

2―1で迎えた9回の攻撃でベンチに控えるナインが総立ちとなった。1点を争う展開の中、長野は一死二塁のチャンスで8回1失点と好投した山崎伊の代打として登場。相手4番手・坂本が投じた甘いチェンジアップをきっちりと中前へ運び、リードを一時2点に広げた。直後に代役守護神のバルドナードが1点を失ったため、長野が放った適時打はより価値のある一打となった。

しかもこれが節目の1500安打。長野は「難しいですね。ヒットを打つのは。とりあえず1501本目を目指して頑張ります」とかみ締めつつ「伊織も頑張っていたんでね。よかったです」と胸をなで下ろした。

39歳6か月での達成は史上3位となる年長記録。これまでチームに残した功績は計り知れないが、グラウンド外でも仲間たちを体を張って守ってきた。ある遠征から帰京する際には、こんな出来事もあった。

日曜日のデーゲームを終え、選手たちは数人ずつのグループに分かれて新幹線のホームに向かった。そこで待ち受けていたのはサインを求めるファンの集団。試合の日程は事前に決まっているため、試合後に東京へ戻ることは誰の目にも明らかだ。しかもNPBや球団からは、公共の場で選手と接触することは控えるよう求められていた時期だった。

だが、地方のファンからすれば絶好の機会。そこで格好の〝標的〟にされたのは、絶大な人気を誇る盟友・坂本勇人内野手(35)だった。

周囲360度から見ず知らずのファンからスマホのカメラで撮影され、球団スタッフが制止しても収まらないカオス状態…。事態を見かねた長野は「勇人、こっち!」とホームの一角にあった自販機の裏側に誘導。坂本に死角を作るための配慮だった。長野自身もカメラを向けられ、通りすがりの観光客にキャリーバッグをぶつけられてもジッと耐え、新幹線のドアが開くと真っ先に坂本を乗車させた。

2012年にはともに173安打を記録し、最多安打のタイトルを分け合った「サカチョーコンビ」。坂本はこの日の試合後に登録抹消となることが決まったが、背番号7の貢献はプレーだけでは表せない。

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