五輪と言えば「ボルト!」だが… 山下美夢有は「日の丸を背負うこと」がうれしい

帰りの便で「ほとんど寝れんかったんです」(撮影/加藤裕一)

今季メジャー第3戦「KPMG 全米女子プロ選手権」で2位になり、8月「パリ五輪」代表入りを果たした山下美夢有が25日深夜、帰国した。羽田経由で関西国際空港に到着し、囲み取材を受けると、質問の多くは五輪に関するもの。今後の具体的なプランなどを聞かれて「うーん、特に何をするとかは…」と困惑する場面が目立った。

そもそもゴルフ界にはメジャーがある。現存する最古のものは今年で79回を数えた「全米女子オープン」。「全米女子プロ」も70回。誰もが夢見、目指すものとして歴史が作られてきた。だから、山下も今年の目標に「メジャーで、上位で戦うこと」を掲げている。

対して五輪のゴルフは2016年リオデジャネイロ大会で112年ぶりに競技復帰してパリで3回目。「オリンピックそのものの印象も陸上競技、特に短距離ぐらいで」と記憶を探り「印象に残っているのは大きな黒人選手の…そう、ボルト、ボルトさん!」。男子100mで08年「北京五輪」から3大会連続の男子100m金メダリストとなったウサイン・ボルト(ジャマイカ)の名を出すので精いっぱいだった。

詰めかけたメディアに「こんなたくさんって思わんかった」(撮影/加藤裕一)

そんな中、明確に意思を示したのは「日の丸を背負うことについて」という質問に対して。「はい。それはすごくうれしいです」。古江彩佳、畑岡奈紗らとしのぎを削り、従来のゴルフの枠組みを離れた“特別な場所”を勝ち取った喜びは大きい。

「パリ五輪」も大事だが、やはりメジャー。3週後の「アムンディ エビアン選手権」(7月11日―14日、ル・ゴルフ・ナショナル/フランス)に思いは飛ぶ。7度目のメジャーで自己最高成績を残した「全米女子プロ」は、心技体すべてで「少しずつレベルは上がっていると思う」と感じた。

一方で最終日の17番(パー3)でグリーン右横の池を際どくクリアして“もう少しでホールインワン”となった一振りがミスショットだったことを明かした。「キャディさんと“あそこはもうちょっと、ちゃんとセンター狙いすべきやったな”と話したんです」と笑った。「守りじゃないけど、割り切ったマネジメントをすること」の重要性を再認識した。

今後2週間の国内ツアー競技はスキップする。「帰りの飛行機でほとんど寝れんかったんです。まだ興奮が残ってたんがあるかも。アドレナリン出てましたから」と苦笑いして「さすがに疲れが出てきたんで、まずは休みたいです」。数日はゴルフを離れ、調整後にフランスへ。今度は「全米女子プロ」で現地サポートしてくれた母・有貴さんに加え、コーチの父・勝臣さんも一緒に日本を発つ。(大阪府泉佐野市/加藤裕一)

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