長時間座ったり、背中を反らした時に痛みとしびれを感じる【ひどい腰痛も8割治る】

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【ひどい腰痛も8割治る】#21

「中学生のときに柔道で首を痛め、その後もラグビーや競技スキーで頭を強打した際に首に痛みが出たりしました。常に軽いむち打ち症の痛みがある感じです」

この55歳の男性はぜんそくの持病があり、左肩と左足それぞれを脱臼した際には手術も経験されています。3年前から椅子に長時間座ったり、背中を反らした時などに鈍い痛みとしびれを感じるようになり、次第に鈍い腰痛とお尻から下肢にかけてのしびれが日常的なものに。地元の整形外科で半年に1回、ブロック注射を打ってもらっているとのことです。

ブロック注射は、痛みが緩和され神経が落ち着き、血管や筋肉の緊張がほぐれ血行も改善されるため、麻酔が切れた後も長期的に痛みが和らぐ効果が期待できるものです。

「それと頚椎も以前の整形外科で診てもらった時に2カ所悪いって言われたんですけど、でも指が悪くなるような場所じゃないから手術じゃ良くならないと言われて……」

2週間前から再び出てきた両手の指のしびれも頚椎との関連があるのではと、この時の整形外科での診断に納得されていない様子でした。

MRI検査では、椎間板に骨棘(こっきょく)の形成(膨隆)やヘルニアなどが見受けられ、主病名は椎間板変性症となりました。ちなみにこの骨棘は骨が何らかの原因で変性し、棘(とげ)のようになり末梢神経を圧迫するもの。

椎間板に特殊なジェルを針で注入するセルゲル法を実施することになったのですが、昨年の腰椎の治療時、薬剤注入時に耐えられないほどの激痛だった経験を持っていて、今回ももっと痛いのではないかと不安を訴えられました。施術直後に猛烈な痛みと40度の発熱もあったものの、1週間後にはその痛みがランダムになり、治療前よりは確実に改善していると実感していただけたようです。

そんな様子も月を重ねるうちに日常生活を送るには問題がない程度にまで改善していきました。前かがみなど姿勢によっては急に痛む場合もあるものの、その痛みもいまでは筋肉痛のような痛みへ変化。筋肉が炎症を起こして痛みを発症している状態であり、この炎症期は2週間ほどで落ち着いてくるのが通常ですので、そのことを伝えると、ゴルフなどの運動も再開してみると話していました。

あれから1年たった現在、さらに状態は改善。多少の腰痛や、ときおり筋肉が血行不順になり硬くなることで起こるギックリ腰はありますが、主な症状は「痛い」というより「しびれ」。ADL(日常生活動作)は良好となり、今度は頚椎の治療も希望されていることを伺いました。

ただ椎間板以外に原因がある可能性もあるので、リハビリテーションの必要性を説明。日常的に血行促進を促し、筋力の維持にも寄与する入浴後のストレッチや貧乏ゆすりをお勧めしたのでした。

(ILC国際腰痛クリニック東京・箕輪忠明院長)

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