日本刀の魅力伝えたい 伝統の職人技継承誓う 池田憲人さん 東北唯一の専門店「武修堂」8月、郡山に

日本刀の美しさを伝えるため開店の準備を進める池田さん

 福島県郡山市の池田憲人さん(40)は8月1日、市内開成5丁目に日本刀専門店「武修堂」を開く。幼い頃から剣道で心身を鍛え、居合道や抜刀道を通して日本刀の美しさに魅せられた。日本独自の文化の魅力を広く伝えるとともに職人として伝統技術の継承を誓う。

 池田さんによると、日本刀専門店は東北唯一という。刀の展示や販売、修理をはじめ、鮫皮を使ったさやや胴の製作、武道具用品などを販売する。

 池田さんは市内の道場で故・相楽芳三さんに師事し、剣道と居合道の腕を磨いた。日大工学部卒業後は運送会社に勤める傍ら、2011(平成23)年から日本刀で巻いた畳表などを切る抜刀道に取り組み、全国大会で9連覇を果たした。

 抜刀道の道場で日本刀の修理などを手がける只見町の男性と出会い、技術を学んだ。2019年4月、男性が急逝したため仕事を受け継ぎ、副業として刀の修理などを担ってきた。剣道を始めた小学生時代から親交のあった渡辺茂喜さん(70)が武道具店の経営を退くため、店舗を引き継いで創業することを決めた。

 配信している動画投稿サイト「ユーチューブ」チャンネル「藁斬り抜刀斎」の登録者数は約24万人に上り、日本刀に関する知識などを世界中に発信するインフルエンサーとしての一面も持つ。日本刀は芸術品として海外でも注目が高まる一方、国内では愛好家の減少や技術の保護を求める声が上がる。

 約500年前の刀を手に、焼き入れする際にできる「刃文」という模様の美しさから先人の技術の細やかさや時代背景を想像できるとし、「日本刀を身近に感じ、魅力を知ってもらいたい」と開店に向けた準備を進める。

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