福島県産米 追肥で猛暑対策 県とJA 品質維持へ技術指導 県農業センターが研究

 福島県は今夏、JAグループ福島と連携し、猛暑下での県産米の品質維持に向けた新たな手法を生産者に指導する。水稲の穂が出始める8月上旬ごろに追肥すると高温による障害が半分程度に抑えられるとする県農業総合センターの研究結果を周知する。今年も猛暑が予想される中、高温対策に絞って県内各地で指導会を開く。来月に緊急の技術対策会議を開催し、1等米の割合が大きく下がった昨夏と同じ状況にならないよう対策を進める。

 25日の6月定例県議会一般質問で、自民党の山内長議員(大沼郡)の質問に沖野浩之農林水産部長が答えた。水稲は高温にさらされると養分を消費してでんぷんの蓄積が不十分となり、米粒の一部が乳白色となる「白未熟粒」などが発生する。見た目が良くないために等級判断に影響し、農家の収入減につながるため、県農業総合センターとJAグループ福島が共同で2021(令和3)年度から2023年度まで解決に向けた手法の研究を進めていた。

 「白未熟粒」を抑えるため同センターは追加の肥料を与える時期の調査を重ねた。8月上旬ごろに追肥をすると、「白未熟粒」の発生が抑えられ、他の時期よりも効果が大きいとの成果が得られた。センサーを用いた高温下での適切な水位管理の検証で一定の浅い水位を保つことで夜間の地温を低く抑えられ、水稲の品質維持につながるとの結果も示された。

 技術対策会議の開催は6年ぶりで、7月10日に郡山市の県ハイテクプラザで開く。適切な時期の追肥など研究成果をはじめ、関係機関が高温対策に関する情報を共有する。7月中旬以降に順次、県の農林事務所や県内各JAが連携して農家を対象にした現地指導会を各地で開く。各農家の水田の状況に合わせて指導し、研究結果を普及させる。例年を上回る規模や頻度を想定している。

 昨年は記録的猛暑の影響で、食味ランキングで県産米が20年ぶりに「特A」を受けなかった。1等米の割合が昨年12月末時点で76.1%となり、前年同時期の95.0%を大きく下回った。気象庁によると今年7~9月も平年よりも暑い予報で、対策が急務となっている。今年は暖冬の影響で越冬したカメムシが全国的に多く、水稲への被害が懸念されることから防除対策の徹底も呼びかける。

 県農業振興課は「万全の対策を講じ、高温下でも県産米の高い品質を確保する」としている。

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