自治体向け生成AIを導入 四日市市、職員の事務補助に 三重

【会見する森市長と生成AIが質問に回答した画面=四日市市役所で】

 【四日市】三重県の四日市市の森智広市長は25日の定例記者会見で、「自治体向け生成AI(人工知能)」を導入し、同日から業務で活用していくと発表した。導入するのは「exaBase(エクサベース)生成AI for 自治体」で、導入費用は本年度末までの契約で385万円。

 市によると、職員が生成AIに指示した内容や生成された回答が他の利用者への回答生成に引用されることがなく、第三者への意図しない情報漏えいを防ぐことができる▽市専用の学習データ領域を持ち、あらかじめ条例などの内容を学習させておくことができ、市の実情に合わせた質の高い回答の生成が期待できる―のが特長で、昨年から実施しているデジタル人材育成研修で各所属から選出されたDX(デジタルトランスフォーメーション)推進リーダー330人にアカウントを配布した。

 市によると、専用の学習データ領域を持つ自治体向け生成AI本格導入は県内初で、330アカウントという規模での導入開始も県内最多という。同市は昨年6月末に「生成AIの利用に関するガイドライン」を策定し、業務への活用を検討するため、複数の生成AIで実証実験を実施してきたほか、本年度からICT戦略課をデジタル戦略課に改称し、同課内に設置した「行政DX推進室」で全庁的な窓口業務のDX化やデジタル技術の活用による業務効率化の推進に取り組んでいる。

 想定している活用例は、文章作成補助▽アンケート内容の分類、集計▽会議録などの要約▽企画提案、アイデア出し―など。森市長は「市民の皆さんにしっかりと向き合っていくためのツールになると思う」とした上で「業務の効率化を図り、削減できた時間を市民サービスの品質向上にあてていく。人間しかできない業務にしっかりと時間を割く」と語った。

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