電気料金“月1400円”補助へ「猛暑乗り切り緊急支援」も…7月補助なし「マヌケすぎ」の声も 総裁選前にアピールか

21日、政府与党は8月から10月の電気料金負担軽減策を発表し、家庭向け電気料金を月額1400円、ガス料金を450円減額する案を調整中だ。

補助金が6月と7月にないのは、与党関係者によると、手続きの準備が間に合わないためだという。

8月から10月の3カ月間“電気・ガス料金補助”復活へ

政府与党は8月から10月に行う電気料金の負担軽減について、平均で月額1400円減らす案を軸に調整に入った。

岸田首相は21日、8月から10月までの3カ月間、電気・ガス料金の補助を復活させる方針を表明した。

これを受け岸田首相は25日午前、公明党の山口代表と会談し、補助に関する詳細を与党で週内にまとめることや、財源として2024年度の予備費を充てることを確認した。

政府与党は、家庭向けの電気料金について2024年4月までと同様に、1kWhあたり3.5円補助し、標準世帯で月額1400円減額するほか、ガス料金も450円減額する案を軸に調整する見通しだ。

6月・7月は補助金は出ず…理由は「間に合わない」

ここからは、フジテレビ政治部・高田圭太デスクが解説する。

青井 実 キャスター:
ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格の高騰を受け、2023年1月に補助金が始まりました。当初は電気代が2800円、ガス代が900円の補助で、段階的に値段が下がっていきました。2024年の6月と7月は補助金がなく、8月から10月は補助金が出るようになるという話です。まず補助金の額は、4月と同じ額だということですね。

フジテレビ政治部 高田 圭太 デスク:
25日から与党で本格的に議論するが、たたき台として4月と同じ1kWh当たり3.5円で月にすると、標準的な家庭で電気代で1400円下げるという案を軸に検討するという状況だ。

青井 キャスター:
ーー6月・7月の補助金を打ち切って、また復活させるということですが、なぜ6月と7月はないのでしょうか?

政治部 高田 デスク:
今回の補助は「猛暑乗り切り緊急支援」と銘打たれている。2023年の東京都の最高気温の月平均のグラフを見ると、補助がある10月は23.7度まで下がっている一方で、補助がない7月は33.9度もある。8月とほぼ変わらない暑さで、年によっては8月より暑いこともある。

そして、10月はかなり涼しくなってくるため、今回の猛暑乗り切り支援は、酷暑の時期から補助期間がずれている。政府与党内からも、8月から10月だということに「マヌケすぎだ」、「7月からできないのか」という声が出たそうだ。政府与党関係者に、「7月から補助金適応をなぜしないのか?」を聞くと、「できない。間に合わない」と返答していた。

青井 キャスター:
ーーなぜ間に合わないのでしょうか?

政治部 高田 デスク:
約800社ある電気会社の手続きなどの準備が、間に合わないのが理由だそうだ。

しかし4月の時点で、熱中症警戒アラートを10月まで運用開始することなど、2024年の夏が暑いことは分かっていた。政府はもう少し早く動けなかったのか、少しお粗末という気はする。

青井 キャスター:
ーー7月にエアコン使用を控えて熱中症になる人が出ないとは限らないですが、補塡(ほてん)などはないのでしょうか?

政治部 高田 デスク:
もともと、この補助を5月と同じ1.8円くらいにする案もあったようだが、7月に間に合わないこともふまえ、3.5円に積み増したようで、それだけ補助するので、「エアコン使用は控えないでください」とアピールする見通しのようだ。

「日本のエネルギー政策がおかしくなる」補助金やめられるか

青井 キャスター:
ーー国会閉会に合わせて発表したのは、9月の総裁選を前にしたアピールという見方もありますが?

政治部 高田 デスク:
実際そのような声も出ている。9月に総裁選、その後、10月解散、11月総選挙という見立てもある中で、そう勘ぐられても致し方ない状況だ。

スペシャルキャスター パックン:
ーーこれが人気取り政策であれば、人気が出れば出るほど、補助金を出すのはやめられなくなるのではないでしょうか?

政治部 高田 デスク:
25日の自民党の会議でもその話題は出ており、「本来やめるはずなので、ここでもうやめて、この先復活はないようにしないと、日本のエネルギー政策がおかしくなる」という声は出ていた。

しかし、冬・夏の電気代がかかる時期に、本当にそこを政府与党が突っぱねるかというと、そのときの政権の体力によっては難しいと思われる。

スペシャルキャスター パックン:
ーー電気代が高いからこそ、個人の節電意識や国のクリーンエネルギーシフトなど、エネルギー政策を見直そうというモチベーションが高くなると思われます。 電気代を下げてしまったら、少し失速してしまうのでは?

政治部 高田 デスク:
そこは岸田首相も気にしていて、先週の会見でも、日本のエネルギー構造の脆弱(ぜいじゃく)性が原因であり、原発の再稼働や、新たな脱炭素電源の開発などの戦略を年内に策定すると強調している。

ただ政権として、そうしたメッセージはなかなか伝わっていない状況だ。
(「イット!」 6月25日放送より)

© FNNプライムオンライン