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2024年度の最低賃金引き上げに向けた議論が、厚生労働省の審議会で開始された。
現在の全国平均は時給1004円で、地域間格差の是正も重要な課題となっている。
専門家は、企業の生産性向上と前向きな賃上げが必要と指摘している。
最低賃金の引上げ議論が開始
2024年度の最低賃金の引き上げをめぐる議論が始まった。
武見厚労相:
最低賃金をはじめとする賃金の経済政策としての役割、物価を上回る賃金の上昇への期待感もふまえたご議論をお願いしている。
企業が労働者に最低限支払わなければならない最低賃金について、2024年度の引き上げに向けた議論が、厚生労働省の審議会で25日から始まった。
現在の全国平均は時給1004円で、過去最大の43円増となった2023年度を大幅に上回る引き上げとなるかが焦点となる。
また、最も高い東京都と最も低い岩手県では220円の差があり、地域間格差の是正も課題となる。
最低賃金は毎年夏に改定され、引き上げ幅の目安は7月下旬にも示される見通しだ。
企業の生産性向上と利益確保も焦点
「Live News α」では、市場の分析や企業経営にくわしい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーー最低賃金の引き上げ、どうご覧になりますか?
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
最低賃金は、すべての労働者が対象となります。これが引き上げられると、賃上げ全体にいい影響を与えます。
デフレから脱却し、真に力強さを取り戻すためには、雇用の7割を支える中小企業・小規模事業者の賃上げが重要です。ただし、企業側からすれば、物価高で利益が出ていない中での賃金引き上げには懸念が強いです。
最低賃金の議論は、企業が生産性を高めたり、儲かるサイクルを生み出す視点も、一緒に議論する必要があります。
自己肯定感を上げる「実行」が鍵
堤キャスター:
賃上げを、経済全体の底上げにどうつなげるのか、これが問われている訳ですね。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
賃上げをバネに、経済成長を図るには地域でビジネスを行い、利益を出す力強い企業が存在し、その地域で経営をしたいと思う企業を誘致できること。
さらには、働く人の賃金の上昇にともなって、「やりがい」や「生きがい」を持てることが大切です。企業も、個人もやりがい=自己肯定感を持てるなら、都市でも、地方でも、人は集まるはずです。
最低賃金を全国一律にすると、大都市から暮らしやすい地方に人口の移動が起きるという指摘がありますが、そもそも人が住む場所を選ぶ際に、経済的な合理性だけで決める訳ではないですよね。
例えば、人と人との交流が密接な地方よりも、どこかクールな都会の方が生きやすいという方もいるはずです。今の日本に足りないのは、ここがいい、これでいいと思える自己肯定感であるように思います。
堤キャスター:
ーー賃上げを通じて、自己肯定感を高めるには、どうしたらいいのでしょうか?
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今、人手不足だから賃上げしなければならないといった「仕方ない賃上げ」が見られます。
企業が成長して、個人が「やりがい」が持てる前向きな賃上げを広げていくには、相応のエネルギーが必要です。
日本に必要なのは、「議論」ではなく、「実行」。その場にとどまる時期は、もう終わりにして前に進むことが大事なのではないでしょうか。
堤キャスター:
賃金を上げるには企業の稼ぐ力も問われます。
物価高など、さまざまな問題もありますが、日本の生産性を上げる取り組みが鍵になるように思います。
(「Live News α」6月25日放送分より)