中国とウズベキスタン、シルクロードの遺跡を合同発掘

中国とウズベキスタン、シルクロードの遺跡を合同発掘

チナール・テパ遺跡で発掘を進める中国とウズベキスタンの考古学スタッフ。(資料写真、タシケント=新華社配信)

 【新華社タシケント6月26日】ウズベキスタン南部スルハンダリヤ州ウズン地区のチナール村で中国とウズベキスタンの考古学調査隊が合同で発掘するクシャン朝時代の大型集落遺跡、チナール・テパ遺跡は、2カ月余りの作業で全貌が見え始めた。クシャン時代の同地域の歴史の空白が埋めると期待される。

 遺跡は2019年に中国・ウズベキスタン合同考古学調査隊が発見。今年4月2日から6月8日にかけて初めて発掘調査し、遺跡がチナール村の東側の台地の端に約2万5千平方メートルにわたり分布しているのを確認した。

 中央部の居住区は中心市街地と郊外からなり、居住区の北側と南側の台地にある1号、2号墓地では合わせて25基の墓を発掘した。居住区の郊外地区は既に200平方メートルを発掘し、クシャン朝時代の住宅基礎を含む遺構が見つかった。発掘に参加した西北大学(陝西省西安市)の陳新儒(ちん・しんじゅ)考古技術員は「壁の基礎の発掘で長方形の灰坑が見つかり、多数の陶網墜(陶製の漁網の重り)とクシャン朝時代の陶器の双耳罐(そうじかん)が出土した」と説明した。

中国とウズベキスタン、シルクロードの遺跡を合同発掘

チナール・テパ遺跡の出土品。(資料写真、タシケント=新華社配信)

 これまでに見つかったクシャン朝時代の3軒の住宅には明らかな生活の痕跡があり、織物や漁具が出土した。考古学者は、クシャン朝時代のスルハンダリヤ地域の東側は連続した居住痕跡が存在することから、クシャン人が分布する重要なエリアだったとの見方を示し、今回の発見がクシャン時代の同地域の歴史の空白を埋めることになると語った。

 発掘に加わった西北大学シルクロード考古協力研究センターの唐雲鵬(とう・うんほう)講師は「今年の発掘でクシャンの住民が農業と漁業を重視していたことが分かった。月氏が牧畜を主としていたのと異なる」と説明。新たに見つかった小麦や米、ブドウなどの植物種子はクシャン朝が農耕に重きを置きつつ漁業や園芸作物栽培を補助的に営んでいたことをさらに裏付けたとし、現代の中央アジアの経済モデルと驚くほど似ていると指摘した。

中国とウズベキスタン、シルクロードの遺跡を合同発掘

チナール・テパ遺跡の出土品。(資料写真、タシケント=新華社配信)

 唐氏によると、クシャン朝時代は中国の後漢時代に当たり、甘粛省で発見された簡牘(かんどく、文字を記した竹札や木札)にもクシャン朝の使者がシルクロードを通って長安に至ったことが記されている。

 中国・ウズベキスタン合同考古学調査隊は長年にわたり、ウズベキスタン・サマルカンド近郊のサザガン(Sazagan)遺跡、バイスン近郊のラバト(Rabat)遺跡、ウズン地区のSerkharakat遺跡などを発掘。長期のフィールドワークと緊密な学術交流を通じて深い友情を築いてきた。

 長期の協力は、中国とウズベキスタンを研究目標に向け前進させている。唐氏は「合同調査により東西の文明がどのように交流してきたかをはっきりと理解できる。古代シルクロードの歴史の姿をより良く復元することも可能だ」と語った。(記者/孫正好、林勝概、許祖華、李奥)

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