G=マルケス『百年の孤独』文庫! 池澤夏樹「読み解き支援」& 筒井康隆 解説

ラテンアメリカ文学の金字塔、ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』の文庫版が刊行。池澤夏樹が監修した「『百年の孤独』読み解き支援キット」の配布もされている。『百年の孤独』は「マコンド」という架空の村で生きる「ブエンディア」という一族の物語。この一族には同じ名前の人物が大量に現れる。G=マルケスの出身地コロンビアやスペイン語圏では親の名前を継承は珍しくないが、G=マルケス自身も父の名はガブリエル・エルヒオ=マルケス。スペイン文化に馴染みがばない多くの日本人もまた面食らう。読んでいて混乱するのも、G=マルケスもそこが企みで、その上、分厚いページ数に読み手にとっては高い壁であり、1980〜1990年代の日本でのラテンアメリカブームでの読者も彷徨い人のように、G=マルケスの文学世界を漂っていた。

21世紀も四半世紀の今日。文庫化にあたって「『百年の孤独』読み解き支援キット」を版元の新潮社は用意した。このキットは池澤夏樹が著書『ブッキッシュな世界像』(白水社刊)や『世界文学を読みほどく』(新潮選書)で発表したもので、「ブエンディア一族家系図」と作品要約「百年の歴史実話・抄」で構成されています(レイアウトの都合で「ブエンディア家の人々」(主要人物出入り表)は未掲載)https://www.shinchosha.co.jp/special/205212/

文庫化にあたってコメント

ミクロとマクロを往来する、「物語」にしか成し得ない奇跡。 ――西加奈子さん(小説家)

「想像力の限界を超えた作品。この本がなければ、ぼく自身が小説を書けなかった。――小川哲さん(小説家)

「毎晩この本を10ページ読んで、南米の魔法に酔いしれよ! 」――齋藤孝さん(明治大学教授)

本書巻末には筒井康隆に寄稿解説を掲載。筒井にとってガルシア=マルケスは特別な存在で、本書解説では〈「ラテン・アメリカの土俗性が喜ばれるのは日本の後進性を示している」などと嘯いていた〉文壇の老大家に〈鳩尾に十七回突きを入れ、六十九回両ビンタを食わしてやりたい〉と書いている。また、装画はイラストレーター/デザイナーの三宅瑠人が担当。三宅氏はBirkenstockやGucci、Bottega Veneta、TOYOTA、NHKドラマ「虎に翼」などにクリエイティブを提供し、世界的な注目を集めています。

新潮文庫の大きな特徴であるスピン(紐しおり)も、初回出荷分限定で煌びやかな金色の特別なものを特別仕様。

ガブリエル・ガルシア=マルケス:1927年コロンビアの小さな町アラカタカに生まれる。ボゴタ大学法学部中退。「エル・エスペクタドル」紙の記者となってヨーロッパにわたり、ジュネーブ、ローマ、パリ各地を転々。`55年に処女作『落葉』発表。`67年『百年の孤独』を発表すると瞬く間に空前のベストセラーとなり、世界各国で翻訳。以後『族長の秋』『予告された殺人の記録』『コレラの時代の愛』『迷宮の将軍』など次々と歴史的傑作を刊行。1982年にはノーベル文学賞を受賞。

ガブリエル・ガルシア=マルケス(Photo ©︎ LM.PALOMARES)

『百年の孤独』:1967年にアルゼンチンのスダメリカナ社から刊行され、現在まで46言語に翻訳されて5000万部を売り上げている世界的ベストセラー。NETFLIXが映像化の権利獲得を発表、大きな話題を呼んでいる。世界の名だたる作家たちが賛辞を惜しまず、その影響下にあることを公言している世界文学屈指の名著。蜃気楼の村マコンドを開墾しながら、愛なき世界を生きる孤独な一族の歴史を描いた一大サーガ。試し読み:https://www.bookbang.jp/article/778003

書誌情報:【タイトル】百年の孤独【著者】ガブリエル・ガルシア=マルケス【訳者】鼓直【発売日】2024年6月26日【ページ数】672ページ(文庫版)【定価】1375円(税込)/ https://www.shinchosha.co.jp/book/205212/

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