公立夜間中学が来春、鹿児島市に誕生するのを前に、「夜間中学を育てる会・福岡」の大塚正純共同代表(71)の講演会が20日、薩摩川内市の入来文化ホール別館であった。大塚さんは、さまざまな事情で義務教育を受けられなかった人たちの思いを代弁。「学ぶことは生きること」と訴え、制度の周知を求めた。
大塚さんは、福岡市で27年続く自主夜間中「よみかき教室」の事務局も務める。教室に通う人たちは、年齢、国籍、学びの経験が一人一人違うと説明。中学時代は不登校で、長く引きこもり状態だった男性が学び直して大学に進んだことや、日本社会で孤立していた外国人が公立高校に進学した例などを報告した。
夜間中は「学びの場」であると同時に「居場所であり、夢を紡ぐ場所」と強調。「読み書きができないなどで人間扱いされてこなかった人たちが、学びを通じて人を信頼することを知り、生きる力を得る。夜間中があれば救われる人がいる」と話した。
講演会は、川薩地区人権・同和教育研究協議会が主催し、教員ら約70人が参加。川崎祐子会長は、夜間中について教員への周知も十分ではないと言い「学びたい人に応える場であることを伝えていきたい」と話した。