アングル:ラッセルの銘柄入れ替え、今年はAI株急騰が影響か

Chuck Mikolajczak Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 25日 ロイター] - 指数算出会社FTSEラッセルは28日に指数の銘柄入れ替え作業を完了する。今回の入れ替えは人工知能(AI)関連株の過去1年間の急騰が大きく影響すると予想されており、投資家は最終結果に身構えている。

FTSEラッセルは銘柄入れ替え作業を段階的に進めており、28日の取引終了後に最終的な結果を公表する。ファンドマネジャーが入れ替え結果に沿ってポートフォリオを調整するため、この日は取引が最も活発な日となることが多い。

ラッセルの銘柄入れ替えは年1回で、大企業を対象とする「ラッセル1000」、小型株を対象とする「ラッセル2000」、この両方を合わせた「ラッセル3000」などさまざまな指数が含まれる。また「ラッセル1000グロース(成長)株」や「ラッセル2000バリュー株」といった運用スタイル別の指数も入れ替えの対象となる。

昨年の入れ替え以来、半導体のエヌビディアやスーパー・マイクロ・コンピューターなどAI関連株が猛烈な勢いで値上がりしており、今年はグロース株指数とバリュー株指数が大きな影響を受けそうだ。

エヌビディアの株価は足元では下がったが、この1年間でみると約180%上昇。スーパー・マイクロ・コンピューターは230%余りも値上がりした。メタ・プラットフォームズとマイクロソフト<MSFT.Oもそれぞれ75%近くと31%強上昇した。

ジェフリーズ(ニューヨーク)の株式ストラテジスト、スティーブン・デサンクティス氏によると、グロース株が他のセクターを上回るペースで上昇したため、入れ替えによってラッセル1000グロース株指数の構成銘柄数は400を割り込み、上位5銘柄の比重は44%強に達する見込み。「上位の銘柄は比重がますます大きくなっている」という。

ラッセル2000グロース株指数も比重が変わり、ハイテク株が4.5%低下し、ヘルスケア株が3.4%上昇すると同氏は予測している。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニアポートフォリオマネージャー、ブライアント・バンクロンカイト氏によると、ラッセル1000グロース株指数は銘柄の約3分の2がハイテクと通信サービスに集中する見込み。45銘柄程度が同指数から除外されるため、銘柄数は390強に減少するとみられる。一方、バリュー株指数の構成銘柄数は870程度と予想している。

FTSEラッセルの構成銘柄入れ替えは周知のこととなっており、ポートフォリオ調整に伴う相場変動を好機ととらえる投資家もいて、株式の取り引きが一層活発になる。

FTSEラッセルによると、昨年6月の銘柄入れ替えでは週末金曜日の取り引き終了直前に、ニューヨーク証券取引所とナスダック取引所の取引高がそれぞれ727億ドル、617億ドルに達した。

UBSのシニア米国株式ストラテジストであるパトリック・パルフリー氏が先月のリポートで指摘したところによると、今年はエヌビディアのような巨大成長株に上昇が集中した結果、主に大型成長株に投資する資産運用担当者は指標構成銘柄上位10銘柄が16.7%のアンダーウエートになっている。銘柄入れ替えによりラッセル1000グロース株指数の上位10銘柄の比重は56.1%から61.3%に上昇する見込みだという。

「理論的にはポートフォリオ調整によって投資の集中が一層進み、これら銘柄の買いが強まることになるが、実際にはポートフォリオ多様化のルールによって影響は緩和されるはずだ」とパルフリー氏は説明している。

昨年12月時点でラッセル米国株指数に連動する資産は約10兆5000億ドル。全世界では15兆9000億ドルがラッセル指数に連動している。

FTSEラッセルは、時価総額が最も大きい銘柄の比重を制限したり、こうした銘柄を除外した指数を提供したりし始めているが、一部銘柄への集中化を考慮して指数の算出方法を変える計画はない。

FTSEラッセルの米国指数商品管理ディレクター、キャサリン・ヨシモト氏は「われわれは市場を反映する指数を提供するのが仕事であり、それは顧客から一貫して求められていることでもある」と述べた。その上で、ニーズがある場合には、一部銘柄の比重に上限を設ける指数や一部銘柄を除外した指数などの解決策を検討するとした。

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