日本代表イレブンが待ち伏せチェック 岡田武史氏の入浴法〝エコ伝説〟は本当なのか

日本代表監督時代の岡田武史氏

【多事蹴論90】サッカー界「ナンバーワン」と言われるエコ活動家の実像とは――。日本代表が初めて出場した1998年フランスW杯でチームを率いた岡田武史氏は、2010年南アフリカW杯でMF本田圭佑を先発に抜てきし、ベスト16入りを果たすなど「名将」との地位を確立した。現在は指導者を“引退”(公認S級ライセンスを返上)。J2FC今治の代表取締役会長など実業家として精力的に取り組んでいる。

その一方、岡田氏は“エコ専門家”としても活動中だ。かねて環境問題などに精通し、日々の生活におけるエコロジーなど資源の大切さや地球環境についても訴えている。日本サッカー協会の会長を務めていた川淵三郎氏は「岡田は学生(早稲田大)時代からエコとか環境問題とかに興味を持っていて、チームメートにもいろいろなエコについて話をしていたな。意外なんだよ。ハハハハハ」と語っていた。

岡田氏はサッカー指導者として全国で講演を行っているが、時にはエコ活動家として熱弁を振るう機会もある。「僕のは文系のエコ」と強調し「地球が誕生して何十億年とたつが、環境破壊されたのは、ここ200年くらいで産業革命以降のこと。地球にしてみればわずかな期間で大きな問題になってしまった」など、サッカー指導者として記者会見をするよりも明るい表情でイキイキと丁寧に解説。環境保護を訴えていた。

そんな取り組みはサッカー界で広く知られており、07年12月に2度目の日本代表監督に就任した際、イレブンは“岡田流エコ”に興味津々。ミーティングや食事の席でも、時にはエコに関連した話をすることがあり、どこまで実践しているのか、気になっていたという。特に岡田氏がJ1横浜Mの指揮官時代、大浴場で選手とともに入浴していた際、シャワーを出しっぱなしで洗髪していた選手の耳元で「地球が死ぬぞ」と、つぶやいたという逸話が広まっていたからだ。

そこで数人の代表イレブンは合宿中、宿舎にある大浴場で指揮官が入浴するのを待ち伏せ。のぼせそうになりながらも約30分後に登場し、その行動を凝視した。選手たちによると、名将は洗い場に腰を下ろすと、風呂おけにためたお湯を使って顔や体を洗い、さらに洗髪するときも、泡を流す以外ではシャワーを1回も使わなかったという。そんな姿を確認したイレブンは「本当にエコにも気を使ってました。洗面器に1回だけお湯をためて洗っていて、さすが監督でした」とうれしそうに語っていた。

そんな岡田氏は、10年に日本サッカー協会の環境問題の担当理事に就任。試合が開催されるスタジアムでのごみ資源軽減をはじめ、さまざまなエコ活動を推し進めることに取り組んでいた。(敬称略)

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