マサバ産地化へ稚魚配布 愛南の水産業者に県水産研究センター

マサバの稚魚を養殖作業船に移し替える関係者=26日午前、宇和島市下波

 愛媛県宇和島市下波の県水産研究センターは26日、新たな養殖魚種として研究を進めるマサバの稚魚を、試験養殖に協力する愛南町の水産業者に配布した。人工ふ化で生まれた親魚が産んだ卵から育てた完全養殖の稚魚で、2026年度まで成育状況などを調べ、本格的な産地化を目指す。

 同センターによると、養殖マサバは脂の乗りがよく、アニサキスに寄生されるリスクが低い。完全養殖で安定供給が期待できることから種苗生産を始めた。天然の種苗を育てる養殖は八幡浜市と愛南町で取り組んでいるが、規模では長崎県や鹿児島県が先行している。

 稚魚は5月下旬に人工採卵した受精卵から約22万匹がふ化。陸上のコンクリート水槽で飼育し、6月下旬までに8センチほどに成長した。宇和海の養殖業者4者に計2万8千匹を無償配布し、成育データなどの提供を受ける。

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