「もっと好待遇を」「定年までは勤めない」…若手の退職、県庁職員でも顕著 20代以下3年で5・5倍の県も

広島県庁

 中国地方5県で県職員の中途退職が増えている。広島県の2023年度の一般行政職員の定年前退職は過去最多の119人で、他の4県も増加傾向となっている。各県は安定した雇用環境よりも高い給与ややりがいを求めて転職する若手職員が増えたのが一因とみている。

 広島県では県警や県教委の職員、医療職などを除く一般行政職員の定年前退職は20年度まで40~60人台で推移していた。21年度に89人に増え、22年度には115人と初めて100人を超えた。23年度は4人増えて119人となった。

 119人の年代別は50代が最多の56人。幹部職員を対象にした毎年の「退職勧奨」による退職者も含まれる。30代が24人、20代以下が22人、40代が17人と続いた。急増前の20年度と比べると、20代以下が5・5倍、30代は3・0倍と増加が際立つ。

 22年度の一般行政職員の定年前退職は、山口県が96人で前年度比35%増、鳥取県が188人で31%増となり、両県とも過去10年間で最多となった。岡山県は68人で11%増え、記録がある18年度以降で最も多かった。3県とも23年度は未集計。

 島根県は23年度、早期退職制度や懲戒免職などによる退職を除く「普通退職」の59歳以下の人数が37人。過去10年で最多だった前年度に比べ21%減ったものの、2番目に多かった。

 各県の人事担当者によると、民間企業が待遇を良くして中途採用を増やしているのに加え、価値観の変化による若い世代の転職意識の高まりが原因とみられるという。鳥取県は新型コロナウイルス禍の業務量増加で職員が繁忙になった影響も一因とみている。

 広島県では起業や給与の低さを理由に辞める職員もいたという。県は行政サービスへ大きな影響はないとしているが、県議会からは「ゆゆしき事態だ」との指摘もある。県人事課は「率直に意見を出し合える職場づくりや職員間のコミュニケーションを促進し、若い職員の不安感の軽減に取り組む」としている。

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