「旭川女子中学生いじめ凍死」問題 調査報告書の非公表部分がネットに流出か サイト運営者が取材に答える

北海道の旭川市で凍死した女子中学生のいじめに関する調査報告書とみられる文書が黒塗りされていない状態でネット上に流出した問題。旭川市教委は文書を掲載したサイトの運営者に削除を求めています。どう対応するのか、運営者がHTBの取材に答えました。

「黒塗りだらけの報告書によって、謂れのない誹謗中傷を受け続けている方々の汚名を少しでも晴らすこと。爽彩さんが何に悲しみ、苦しんでいたのかを社会に正しく理解して貰うために、事実を明らかにすること」。

24日、いじめに関する情報を発信するサイトに掲載された文書。あるいじめに関する報告書とみられています。

3年前、旭川市の中学校に通う廣瀬爽彩さんが公園で凍死した状態で発見された問題。亡くなった原因にいじめが疑われるとして第三者委員会が調査を実施しおととし9月、いじめと自殺の因果関係は「不明」と結論付ける最終報告書をまとめました。旭川市教委は遺族の意向を汲みいじめの詳細など一部を黒塗りにした状態で報告書を公表していましたが…

高橋海斗記者)

「いじめ撲滅を訴えるウェブサイトには、旭川いじめ問題についての報告書とみられる書類が黒塗りされていない状態でアップされています」。

今回公開されたのは黒塗りが一切されていない報告書とみられる文書。関係者によりますと、この文書は一部の文言が修正される前の最終報告書とみられるということです。

旭川市教委は遺族の心情や市の業務に差し支えがあるとしてサイトの運営者に対し、早ければ26日にも削除を要請する方針を示しています。なぜネット上に流出させたのでしょうか。HTBはこのサイトを運営する神奈川県の男性にその理由を聞きました。

いじめに関するサイトを運営 普津澤峻さん)

(Qどういう理由で掲載したのか?)「当時の担任や教頭や学校長が2021年の週刊誌報道や黒塗りだらけの報告書によって深刻ないじめを受け続けている。これ以上傍観するわけにはいかないという思いで掲載をした」。

また、旭川市教委が文書の削除要請を行うことについては…

いじめに関するサイトを運営 普津澤峻さん)

「要請の内容を直接聞いたうえで判断をしたいと思う」。

黒塗り部分の公開に法的な問題はないのでしょうか。いじめ問題に詳しい弁護士は罪に問われる可能性もあると話します。

菊谷淳子弁護士)

「ご遺族にとってのプライバシー侵害問題、名誉棄損に当たる可能性はある。文書をそのままネットで流出させることが公益性があるかどうか疑問」。

この最終報告書を巡っては以前にも流出が疑われるケースが。去年9月、旭川市議会の野村議員の自宅に黒塗りされていない報告書が届きました。

野村パターソン和孝議員)

「朝ポストの中に封筒が入っていて、そこには旭川いじめ事件の報告書の黒塗りが外れたものが入っていました」。

報告書は破棄したと話す野村議員。今回ネット上に公開された文書については。

野村パターソン和孝議員)

「内容を確認しましたけれども、(流出したものと受け取ったものは)比較的近いもの。同一のものである可能性も高いと思います」。

黒塗りのない文書はどこから流出したのでしょうか。旭川市の今津市長は。

旭川市・今津寛介市長)

(Q調査段階の資料を見ることができたのは誰ですか?)

「今回の文書について本物か本物ではないかあるいはどのような文書か申し上げることは個人の尊厳を冒涜し、ご遺族の気持ちをないがしろにして今回の混乱をもたらした行為を助長することにつながりかねないこと、プライバシー侵害のおそれがあることからお答えは控えさせていただきたい」。

外部に漏れてはいけないはずの黒塗り部分。情報管理のあり方が問われています。

© HTB北海道テレビ放送株式会社