ウインブルドン予選に挑む2人のベテラン、ガスケとゴファン。聖地でのプレーを渇望する熱い胸の内に迫る<SMASH>

来週本戦が開幕する今季3つ目の四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝コート)の予選に、注目の2選手が出場している。リシャール・ガスケ(フランス/現世界ランク126位)とダビド・ゴファン(ベルギー/同82位)。揃って元世界7位のベテランは、共に初戦を勝利で飾った。

自身18回目のウインブルドンに臨んでいる38歳のガスケは、これが最後となることを明言。かつて準決勝に2度進出(2007年と15年)し、ロンドン五輪ではダブルスで銅メダルを獲得したこの地で、どのようなラストダンスを見せてくれるのか。大会公式サイトに、予選1回戦でイギリス人のオリバー・クロフォードを6-2、7-6(8)で倒した後のインタビューが紹介されている。

「20年前のデビュー戦ではここでプレーし、予選を通過したんだ。ここは僕が最もプレーしてきた場所であり、大会でもある。

(1回戦に)勝つことができてとてもうれしいよ。先週は体調を崩していたから、準備も簡単ではなかったしね。予選ではなく本戦でプレーしたい。ローランギャロスでは勝ったし(初戦でボルナ・チョリッチに勝利)、今でもテニスができる喜びがあるんだ」

今年4月の「マドリード・オープン」で通算1000試合出場を達成しているガスケは、「トップ100に返り咲きたい」ともコメント。今シーズン末か来年にはラケットを置くという38歳が、思い出深いグラスコートでベストを尽くす。
一方のゴファンも33歳になった。ウインブルドンでは準々決勝に2度進出(2019年と22年)し、6つのツアータイトルを手に入れてきたが、近年はケガやその手術のため現在のランキングは82位まで降下している。

しかし、今の彼にはこれまでにない特別なモチベーションがあるそうだ。大会公式サイトにこう語っている。

「大きな理由は、9月に父親になること。妻も僕もとても幸せだよ。可能ならあと数年、もっと頑張って、もう少し長くプレーしたいと思っていた。レベルは、そこそこあると確信している。生まれてくる女の子に、僕がやってきたことを見せてあげたいし、僕のプレーを生で見てもらいたいね」

そんな活力源の影響か、この予選に入る直前に決勝が行なわれたATPチャレンジャー大会「イルクリー・トロフィー」で、ゴファンはグラスコートでの初タイトルを獲得。

続けざまに出場したこの予選1回戦では、オーストラリアのマーク・ポルマンスに6-3、6-1で快勝した。実はウインブルドン予選への出場は、3回戦で負けた2011年のみで突破経験はない。それだけに「本戦ドローに入るのは簡単なことではない」としたが、こんな力強い言葉も残している。

「ランキングを上げてやろうとやる気満々だよ。自分がまだ何ができるのかを確認するためにもね」

ウインブルドンの予選は本会場とは離れたローハンプトンで行なわれている。予選を突破し聖地のコートに立つには、あと2つ勝利が必要だ。来週開幕の本戦で、38歳と33歳のプレーが見られるだろうか。

構成●スマッシュ編集部

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