ドルが対円で38年ぶり高値、一時160円半ば 節目回復し上昇に弾み=外為市場

Noriyuki Hirata Nobuhiro Kubo

[東京 26日 ロイター] - 26日の外国為替市場でドルは対円でさらに上げ幅を広げ、38年ぶりの高値となる一時160円半ばまで上昇した。日本時間夕方に160円台を回復していたドル/円は、上昇に弾みがつき、午後8時過ぎに1986年以来の水準まで上値を伸ばした。

ドル/円はこのところ160円に再び接近していたものの、介入警戒から150円台後半の攻防が続いていた。160円台に乗せるのは4月29日以来、約2カ月ぶり。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは「日本の実質金利の絶対的な低さと、政府による貯蓄から投資の政策に呼応した個人マネーの海外投資の流出が重なり、円安が止まらなくなっている」と話す。

150円台後半の攻防から160円台へと局面が変化した背景について「ボラティリティが低下し、為替介入の大義が薄れる中で市場の警戒感が後退していた側面があるだろう」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト)との見方もある。

4月29日は160.245円と1990年以来の高値を付けた後、154.4円まで急落し、日本政府・日銀による介入観測が広がった。5月2日にも介入観測があり、5月末に発表された月間の介入実績で9.8兆円の為替介入があったことが分かっている。

財務省の神田真人財務官は26日夜、記者団の取材に対し「最近の急速な円安の進行に関しては深刻な懸念を有しており、高い警戒感をもって市場の動向を注視している」と語った。行き過ぎた動きには「必要な対応を取っていく」と強調した。財務官の発言後、ドル/円は160.63円まで一段高となった。

三菱UFJモルガン・スタンレーの植野氏は「外貨準備は余っており為替介入は可能。164円台を上抜けるとテクニカル的に青天井になりかねず、阻止のための介入はあり得る」とみる。

目先は、米大統領選の討論会や米物価指標の発表など、円安を加速しかねないイベントを控えている一方、円安になれば介入リスクは高まることから「市場と政府の神経戦はしばらく続きそうだ」と、ニッセイ基礎研の上野氏は語る。

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