中村留精密工業・中村匠吾社長の「トップの裏側」

石川県内の様々なトップの人柄や成功のカギを探る「トップの裏側~成功の秘訣~」
今回は世界50カ国以上と取引がある工作機械メーカー中村留(とめ)精密工業の中村匠吾(なかむらしょうご)社長のトップの裏側です。

中村社長:
「機械に近いというのは一番やりがいがありますし、見ているとアイデア沸いてきますし機械屋としては『現物ベース』で物事を考えていくというのは非常に大事なことだと思っています」

繊細で緻密な金属の加工を行う工作機械。高い技術で多くの機械をつくる中村留精密工業の中村匠吾社長。個人のSNSはフォロワーが1万人超え。世界から注目を集める中村社長に迫ります。

石川県白山市熱野町(ねつのまち)に本社を構える工作機械メーカー・中村留精密工業。12万平方メートルを超える広大な敷地には去年13棟目となる工場が完成しました。従業員は約650人。航空・自動車・医療など多くの分野で使われる製品を作る工作機械を世界50カ国以上に販売しています。

中村社長:
「機械をすごく好きな人が多い会社だと思っていますなので機械を起点にいろんな話ができたり、海外の方も国内の方も結構多様な環境でそういう話が近い距離でできるというのは魅力なのかなという風に思っています」

創業は今から75年前。中村社長の祖父で社名の由来にもなった創業者の中村留男(とめお)さんが妻と2人で金沢に「中村鉄工所」を立ち上げました。

1963年に旧鶴来町にある今の場所に工場を移転。その高い技術力が認められ、昭和天皇が見学に訪れたこともあります。そんな伝統ある会社の3代目として生まれた中村社長。小さいころからものづくりが大好きでした。

中村社長:
「作ってワクワクさんっていう昔テレビがありましたけども牛乳のパックを解体して何か工作をしたり何かおもちゃを自分で作って遊ぶようなことはよくしていたように思います」

大学院を卒業し、2015年入社、おととし、2代目社長の父から会社を引き継ぎました。そんな中村社長が大切にしていることが…

社員:
「案内ムービーを作りたくて、まるさんが社長になってから作れてないので…」
社員:
「意外と前、まるさんが出てた主軸のやつとかおもしろい」
社員:
「まるさんが出ると数字が伸びる傾向があるなと…」

社員が中村社長を「まるさん」と呼ぶことです。

実はこのニックネームは社内の公募で決めたもの。「丸物加工」のまるや「会社のいいところを伸ばしたい」などの思いから「まるさん」に決まったそうです。

社員:
「社長というか私としてはもうまるさん、普段から話しかけにも行きやすいので私としては非常にありがたいと思っています」
「私は本当に喋りやすいがゆえにちょっといろいろと失言もするかもしれないですけどもすごい喋りやすいです」

中村社長:
「匠吾さんって呼んでくださいよって言った時もあったんですけど、ちょっと呼びにくいという話もあって、自分も社長と言われるのは慣れていないので違和感があるのでという感じです」

今、イチオシの工作機械が…

中村社長:
「WYー100Vという私たちの新しい複合旋盤」

こちらの複合加工機、最大の強みは種類の異なる加工を1台でできることです。

中村社長:
「従来の旋盤の加工なんですね、こういう外径のバイトがついているようなもの、またこのようにあるのはミーリングという加工、これは工具が回転するような機能がついております」

この機械では加工する金属を回転させる「旋盤」と加工を行う工具が回転する「ミーリング加工」。この2つを同時に行えるため機械の台数を大幅に減らすことができます。

中村社長:
「まさに私たちの目指している現場の負担を削るというのはこの複合旋盤をもって達成されるということだと思います」
「マシニストのみなさんこんにちは中村留のまるさんです」

始まったのはYouTubeの撮影。中村社長はSNSでの発信にも力を入れています。アップされる動画には社長自らが出演し、機械の魅力を分かりやすく伝えています。

さらに…「カシャカシャ、いいですね。こんな感じで、シンプルに」

投稿しているのはエックスの個人アカウント。そのフォロワーはなんと1万人超えです。中でも反響があったのは…複合加工機を使って「五重塔」を作るショート動画。238万回再生されるなど多くの注目を集めています。去年、名古屋で開催された展示会ではSNSのファンからのメッセージが相次ぎました。

中村社長:
「営業しててもそんなたくさんの会社に行けませんので今まではiPadでお客さんのところにいってこういう加工できますとお見せしていたんですけども、そのお客様に伝わるまでの時間が短縮されたような形かなと思っています」

中村社長が家族とよく訪れている場所があります。白山比め神社の表参道近くにあるいっぷく処おはぎ屋。

中村社長:
「そしたらきなこおはぎソフトを2つお願いします」
「パパの大好物やね」

中村社長、実は甘いものに目がない「甘党」です。中でもここのソフトクリームが
大のお気に入り。

中村社長:
「これ本当に私は世界一、おいしいソフトクリームです」

3児のパパでもある中村社長。休日に家族で過ごす時間を
大切にしています。

妻・真子さん:
「男の子3人なので公園とか行っても、パパだからこその遊びしてくれるし
助かるなって」

社長が子育て世代ということもあり、中村留精密工業では昨年度の男性の育休取得率は70パーセント。その半数以上が3カ月以上の育休を取得しています。

中村社長:
「家族と話す時間というのは、リラックスする時間の一つですから、ご家族と一緒に時間を大切に過ごしていただくっていう意味で、男女問わず育休を取っていただくというのは一つ大事なことだと思っています」

今や海外のシェアが7割を超え、アメリカや中国、ベトナムなどにも拠点がある中村留精密工業。中村社長が描く今後の展望は?

中村社長:
「世界中でお客様がいる中でいかに中村留の機械入れて良かったと、現場の負担これだけ削れたよっていうお客様、そういう現場をどれだけ増やしていけるかと、そして製造業やってて楽しいじゃんと思う人が世界中で増えていったらこれをぶらさずに邁進していく会社にしたいという風に思っています」

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