記者解説 飲酒死亡事故・危険運転致死罪の適用が焦点【熊本】

スタジオには、取材を担当している前田記者です。

TKUが配信したこの事故のネットニュースには、3000件を超えるコメントが寄せられるなど社会的にも大きな反響があり、厳罰を求める声が上がっていますね。

【前田 美沙希 記者】
花を手向けに現場を訪れた人は目に涙を浮かべながら、酒を飲んだ後、ハンドルを握った容疑者に対し、憤りをあらわにしていました。

熊本県警によりますと、飲酒運転での検挙件数は新型コロナが『5類』に移行した去年5月以降、大幅に増えているということです。

Q現在はどのような捜査が行われているのでしょうか?

【前田記者】
松本容疑者が送検されてから26日で10日、勾留期限を迎えましたが、勾留は延長となりました。

現在、過失運転致死よりも重い危険運転致死罪の適用も視野に捜査が進められています。

Qこの2つの罪はどう違うんですか?

【前田記者】
危険運転致死罪はアルコールなどの影響で正常な運転に支障が生じる恐れのある状態で車を運転し、人を死亡させたときに適用され、裁判員裁判によって裁かれます。量刑は1年以上、20年以下の懲役となります。

7年以下の懲役または禁錮、100万円以下の罰金となる過失運転致死罪よりも量刑が重くなっています。

Qこれまで県内で起きた同じような事故でどんな量刑が言い渡されていますか?

【前田記者】
2017年6月に八代市で起きた飲酒運転の車とバイクが衝突し、バイクの男性が死亡した事故では危険運転致死罪が適用され、運転手に懲役7年が言い渡されました。

一方、同じ年の4月に熊本市で起きた飲酒運転の事故では歩行者2人が死亡したにもかかわらず、過失運転致死罪が適用され、運転手に懲役3年6カ月の実刑判決でした。

このように2つの罪を比べると量刑は全然違います。

その一方で危険運転致死罪については要件が不明確で適用のハードルが高いとされています。

今後、熊本地検がどちらの罪で起訴するのか、その判断にも注目したいと思います。

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