![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1178666109709615677/origin_1.jpg)
立山町など富山県東部に甚大な被害をもたらした豪雨災害から1年が経ちます。
緊急放流が行われた白岩川ダムの水位見直しなど対策が進む一方、住民の不安は解消されていません。
豪雨の被災地の現状と課題を取材しました。
去年6月末、1時間に88ミリの猛烈な雨が降った立山町。
中でも、被害が大きかった白岩地区では、今も土嚢を積んだ建物が目立ちます。
地区を流れる白岩川。
大雨で氾濫し、周辺地域に濁流が流れ込みました。
浸水した住宅は、床上・床下合わせて9件。
田んぼなど農地は、およそ22ヘクタールが浸水しました。
「土のうは組んであるんですけど」
Q.1年くらいは置いている状態?
「(去年の)大雨から置きっぱなし」
白岩川から170メートルほどの場所に自宅がある大后信光さん。
床上浸水の被害を受けました。
*白岩地区に住む 大后信光さん
「ここに跡がある。これくらいまで水が来ていた」
母屋に加え、倉庫や車なども水に浸かり、復旧や買い替えにおよそ600万円がかかったと言います。
*白岩地区に住む 大后信光さん
「今重機が入っている辺りが堤防が決壊した。地震が起きたら津波あるじゃないですか。そのような感じで、一気にグワーって(水が)来た」
*リポート
「雨の被害を受けた田んぼは基盤の部分からの復旧が本格化していますが、護岸はほとんど手つかずとなっています」
被災地では、浸水した田んぼは1カ月ほど前から復旧工事が本格化しました。
町は、来年の田植えまでに間に合わせたいとしています。
一方、住宅に近いこの堤防は今も仮復旧の状態のままです。
管理する県は、8月中旬に工事を始め、来年3月に完了する見通しです。
自宅の目の前にある完全に復旧していない堤防。
梅雨入りした現在、住民は不安を募らせています。
*白岩地区に住む 大后信光さん
「不安はある。堤防だけ先にきちんと直さないと。まだ土嚢積んであるだけの堤防だから」
さらに、住民の不安を大きくしているのが、上流の白岩川ダムです。
1年前、3時間で想定を大幅に上回る200ミリの雨が降り、ダムの貯水量が急増、完成して49年で初めて緊急放流に踏み切りました。
その際、問題となったのが、流域自治体への報告の遅れです。
こうした事態を受け、県は、今月21日から白岩川ダムの水位をあらかじめ1メートル下げて運用しています。
水位の低下で、豪雨に対応する考えです。
*県白岩川ダム管理事務所 宮川義充所長
「下流へ放流する量を、一定程度抑えることができる。水位が急上昇しても時間的な余裕が確保できる。情報伝達が去年は間に合わなかったので、そういう意味ではメリットしかない」
また、県はダム下流などの河川監視カメラを増やすほか、河川の水位とダムの貯水割合が基準値を超えた際、メールで伝えるサービスを始めました。
*県白岩川ダム管理事務所 宮川義充所長
「情報伝達を迅速に行うことと、住民にはいろいろなダム情報をウェブサイト等で入手してもらい、個々に防災意識を高めてもらうということを周知していくことが大切」
完全な復旧にはあと数年かかるとも言われる県東部の被災地。
去年の教訓を活かした対策が進む一方、住民にとって大雨への不安が付きまとう生活が続いています。