寄付額10万円「ふるさと納税」返礼品のJR「1日駅係員体験」 参加した男性は…東京都内、私鉄の現役運転士だった

ふるさと納税の返礼品といえば肉や米などが定番ですが、鳥取県日野町ではこのほどユニークな返礼品が登場しました。それは、寄付金額10万円、少々お高めの体験型返礼品、JR伯備線・根雨駅の「1日駅係員体験」です。
東京都に住む男性が参加者第1号となり、駅係員を体験しましたが、その参加理由は意外なものだったんです。

「それでは1日、よろしくお願いします」

26日、鳥取県日野町のJR根雨駅前で1日駅係員に任命されたのは、東京都内に住む矢中淳さんです。

矢中淳さん
「まもなく1番乗り場に、15時4分発、特急やくも10号岡山行きが8両編成で到着します」

矢中さんが駅員に任命されたわけ、それは…。

矢中淳さん
「ふるさと納税でこういった企画があって、応募させていただきました」

実はこれ、体験型のふるさと納税の返礼品。
町がJR西日本とタッグを組んで今年度初めて導入しました。

気になる寄付金額はというと…「駅長体験」は15万円、「駅係員体験」は10万円と少々お高めです。

で、今回応募があったのは矢中さん、ただ1人です。

構内放送や改札業務など実際の駅員の仕事が体験できるとあって、鉄道ファンにはたまらない内容となっていますが、最大の目玉は、なんと言っても列車の発車合図体験です。

職員からのレクチャー
「信号とお客様の安全と時間。それを3つみて、発車しましょう」

矢中淳さん
「職員の気持ちになった感じで緊張しています」

一通り発車合図に関するレクチャーを受け、迎えた午後3時すぎ。

「敬礼ー!」

新型やくもがホームに到着しました。いよいよ矢中さん、待望の瞬間です。

「よしっ!」

矢中さん、駅長と共にビシッと出発合図をすることができました。

矢中淳さん
「やっぱり格好良いな、運転してみたいななんて。まぁ、無理だと思いますけど」

日野町 企画政策課 生田翔平 主任
「初の試みだったので、どういう反応があるか未知数な中で、お1人でもこういう機会を設けられたってことはやって良かったなと。ある意味成功したのかなと思っています」

ところで矢中さん。制服姿も、駅係員としての所作も、なんだか様になっています。
それもそのはず…

矢中淳さん
「実際に列車を運転しています…関東の某私鉄で。JR西日本で社会人採用が始まったので、そちらに応募を考えていまして…」

なんと矢中さん、都内の私鉄で勤務する現役の運転士なんです。

現在、第2の人生として鳥取県へのIターンを考えていて、今回は日野町にふるさと納税しつつ、インターン気分で駅係員体験に参加したのだといいます。

これにはJRの駅長も…

JR根雨駅 和田隆 駅長
「彼、笑顔が良いよね。インタビューでも絶えず笑顔でしゃべっていただいて、うちの駅員にスカウトしたいくらいです」

矢中淳さん
「(返礼品の金額感は)割安感があると思います。次はこちらには住む形で来たいと思います」

日野町とJRは今後、今回の内容を踏まえながら企画の継続を検討していきたいとしています。

© 株式会社山陰放送