〈動画あり〉お帰りなさい人魚像 元の場所近くに仮設置 鵜の浜海水浴場

元の土台から約10メートル陸側に仮設置される鵜の浜海水浴場の人魚像と台座(高さ約1・9メートル)

冬季波浪に備えるため昨年12月から一時的に撤去されていた大潟区の鵜の浜海水浴場のシンボル、人魚像が26日、同海水浴場に戻され、元の場所近くに仮設置された。半年ぶりの〝帰還〟に関係者は安どし、「お帰りなさい」と喜んでいる。

人魚像は1993(平成15)年11月に建立された。冬期間は波が像の辺りまで寄せていたため、昨年12月6日に人魚像が載る台座部分から撤去、同区内の倉庫に待避していた。その後、年明け1月下旬に高波や強風により砂浜が大きく削り取られ、下の土台や護岸が露出する事態となった。

7月の海水浴シーズンに間に合わせようと、上越市や地元関係団体で仮設置場所などを検討。元の土台から陸側へ約10メートルの地点に仮設置した。監視塔の前で、夕日を背景に写真などを撮れるように配慮したという。

同海水浴場を所管する柿崎区総合事務所産業グループの小林宏康さん(62)は「大勢の方々から親しまれている人魚像をこうして仮設置できた。皆さんの思いが一つにまとまった」と話した。鵜の浜温泉観光組合の八木健一組合長(52)も「お帰りなさいという気持ち。あるとないとでは違う」と、半年ぶりに戻ってきたことを歓迎した。

夏の海水浴場開設に向けては5月下旬から柿崎区内の県の橋梁(きょうりょう)工事で発生した砂(約2000立方メートル)を運び、その3分の2ほどを消失した場所に入れ、均等に敷きならす作業を終えた。従来より西側(直江津側)にずらし、約100メートルの範囲で開設できる見込み。7月1日に安全祈願祭、同13日に海開きを予定している。

市の委託を受け管理する大潟観光協会の佐野謙一事務局長(67)は「(波の運ぶ)砂がつき、思ったよりも砂を入れずに済んだ。多くの方から海水浴に来てほしい」と願いを話した。

県で海岸浸食対策事業として沖合に離岸堤2基の新設を計画している。10年程度を要するとされており、人魚像を元の土台に設置できるのは事業の完了後となる見込み。

砂を搬入して敷きならし、従来よりも西側(直江津側)に海水浴場を開設できる運びに。東側(柿崎側、奥)は護岸が露出したままになっており、立ち入り防止などの措置を講じる

© 株式会社上越タイムス社