「仏岩」を新たな景勝地に 富山県の立山山麓森林組合長・上市の平井さん、ヤマザクラ植樹

付近にヤマザクラの苗木が植えられた「仏岩」

 富山県の立山山麓森林組合長で上市町湯神子在住の平井敏廣さん(76)が今月、同町釈泉寺と稲村周辺の上市川沿いにある巨石「仏岩」のそばにヤマザクラの苗木を植えた。平井さんは埋もれている地域資源に光を当てて一帯を景勝スポットにしたいと考えており、季節感を感じてもらえるよう桜を選んだ。「訪れた人に地域の魅力を再発見してもらい、後世につないでいきたい」と話す。

 仏岩は、上市川第一発電所と上市川ダムとの中間付近に位置する。平井さんによると、仏岩は幅70メートル以上、高さ数十メートルある。かつて平井さんが通学路にしていた道が仏岩沿いにあった。高さ約90センチの仏像が安置され、必ず立ち止まって手を合わせていたという。

 1964年に上市川ダム、85年に上市川第2ダムが完成した。69年には大水害があり、仏像の行方が分からなくなった。道も壊れた。平井さんは県に道の再整備を要望してきた。県が昨年、ダム施設や山の管理のために道を整え、仏岩のそばまで再び行けるようになった。

 今月13日、町の造園業者から寄付を受けたヤマザクラや自宅で育ててきたサクラの苗木計15本を付近に植えた。町職員らが協力した。

 仏岩への道の入り口にある発電所近くには、国登録有形文化財「釈泉寺円筒分水槽」もある。平井さんは「周遊してもらえれば、より地域の魅力を感じてもらえる」と話した。

 仏岩への道は舗装されておらず、平井さんによると、特に悪天候の日は落石などへの注意が必要という。

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