ブラジル物価目標が毎年設定型から長期継続型に、中心値3%は維持

Marcela Ayres

[サンパウロ/ブラジリア 26日 ロイター] - ブラジルのルラ大統領は26日、物価目標の修正命令に署名した。時間軸を従来の1年から長期継続型に変える。

この命令で具体的な目標を定める権限を与えられた国家通貨評議会(CMN)は早速会合を開いて、来年以降も中心値を3%、上下幅を1.5ポイントとすることを決めた。

これまでは財務相、企画予算管理相、中央銀行総裁でつくるCMNが1年ごとに物価目標を設定してきた。

しかしルラ氏の経済チームは、金融引き締めを伴わずに一時的な物価上昇のショックを乗り切ることができるようになるとの根拠から、物価目標の時間軸長期化を提唱している。

ルラ政権は当初、3%を中心とする物価目標は低過ぎると主張していたが、昨年6月時点でこの目標を維持する方針を表明し、今回の大統領命令で新たな枠組みを正式に導入した形だ。

今後は物価の前年比上昇率が6カ月連続で目標圏を外れた場合、目標達成に失敗したとみなされ、中銀が財務相にその理由を説明する公開書簡を送るとともに、物価上昇率を目標に戻すために必要な措置を講じ、目標達成の想定時期を示さなければならない。

また中銀は、新たな物価目標の枠組みがどの程度機能しているか、これまでの政策決定の成果、物価情勢判断などを盛り込んだ四半期金融政策報告の公表も始める。

物価目標の数値を変更する場合は、少なくともその3年前に予告する必要があることも決まった。

アダジ財務相は、この物価目標の枠組み導入により、政府は毎年目標を設定する作業から解放されるとともに、各種財政ルールと相まってブラジルにとってマクロ経済面で新たな局面をもたらすとコメントした。

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