金属屋外保管規制へ 福島県、条例検討 「ヤード」設置に基準

 福島県は26日、金属スクラップなどの再生資源物を屋外で保管する「ヤード」の適正管理と事故防止のため、「金属スクラップヤード規制条例(仮称)」の制定に向けて検討する方針を表明した。一定以上の規模のヤードを設置する場合、届け出や県の許可が必要になる見通し。県内でも近隣住民から騒音などの苦情が確認されており、不適切管理による火災などの恐れも懸念されることから、全国的にも早期の条例制定を目指す。

 県は昨年度、ヤードの実態調査を初めて実施。県内に85カ所あり、都市部の主要幹線道路沿いで特に多かった。このうち一部では、金属を解体する際の騒音や振動に住民が苦情を訴えていることを確認したという。一般に売買される金属は廃棄物に当たらず、廃棄物処理法の規制対象外とされる。

 ヤードに関する条例は、千葉県と茨城県が4月に全国で初めて施行し、新たに設置する場合に知事の許可を必要と規定。両県の規制強化により、本県への搬入を懸念する声が出ていた。県は県南地方に関東圏から大量の土砂が持ち込まれた「盛り土問題」の経験を踏まえ、全国的にも早期の条例制定を目指す。導入時期は流動的だが、関係者によると年度内を目標とする。

 条例は県の許可や届け出を必要とし、規制に違反した場合の罰則を設ける方向で検討する。崩落や火災を防ぐため、保管物の高さなどの基準を設ける見通しだ。県は立ち入り検査を行い、保管基準を満たさない場合は変更・措置命令を出すことも視野に入れる。

 今後は先行地域の事例を参考にしながら、市町村や関係機関の意見を踏まえて内容を詰める。県民から意見を募るパブリックコメントも実施する見込みだ。

 ヤードでの金属スクラップ管理を巡り、日本鉄リサイクル工業会福島部会は19日、不適切な保管が火災や騒音の原因になるとして、県議会に速やかな対応を申し入れていた。

 26日の6月定例県議会で、佐藤徹哉議員(自民、郡山市)の一般質問に答えた細川了生活環境部長は「施設(ヤード)の適正管理を促し、事故を未然に防止するため早期の条例制定に向けて検討を進める」と述べた。

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