23年度水揚げ量、震災後初5000トン超 相双漁協、水揚げ額は減少

 相馬双葉漁協の2023年度の水揚げ量は5064トン(前年度比417トン増)で、東日本大震災後初めて5千トンを超えた。ただ、水揚げ金額はタチウオなど高単価の魚種の不漁が影響して30億円を割り、29億7千万円(同1億4千万円減)にとどまった。震災前の水準に比べると数量は25.3%、金額は42.5%だった。

 同漁協が22日に相馬市で開いた総代会で示した。東京電力福島第1原発で昨年8月に始まった処理水の海洋放出の影響については、中国による日本産水産物の全面禁輸を受け、ナマコの価格が大きく下がったが、ほかの魚種では価格に極端な下落は見られなかった。

 水揚げ量はマダコや名産のホッキ貝、青ノリが伸びた一方、タチウオやスズキなど固定式刺し網漁が不漁だった。22年度はシラスの高値取引が水揚げ金額を押し上げたが、23年度は単価が伸びなかった。

 直売所の販売高は5500万円で、前年度を500万円上回った。同漁協によると、処理水の海洋放出で全国からの「応援購入」などがあり、売り上げ増につながったという。

 同漁協は本年度も漁業復興に向けた取り組みを着実に進め、水揚げ金額31億5千万円を目指す。総代会で今野智光組合長は処理水の海洋放出を巡り「(国と東電に)安全・安心の確保、風評対策などを引き続き求めていく」と強調。2月に火災が発生した松川造船(相馬市)に関しては「行政、関係者を交えて協議し、再建に向けて尽力していく」と述べた。

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