湘南の田中聡がチームを救う同点弾を振り返る「“良いところに当たったな”という感触があった」

6月26日、湘南ベルマーレはJ1第20節で川崎フロンターレと敵地で対戦し、1-1で引き分けた。

湘南は試合の立ち上がりからホームチームの巧みなビルドアップと厳しいハイプレスに苦戦。相手のシュート数9本に対し、湘南はわずか2本と、チャンスをほとんど作れずに前半を終えた。

後半はシステムを3-5-2から4-4-2に変えて持ち直すも、62分に一瞬の隙を突かれて失点。ボックス内でボールを収められてから逆サイドに振られるという、前節のFC東京戦(0-1)と似たシチュエーションで決められた先制点に、嫌なムードが漂ったように感じた。

だが、そんな雰囲気を田中聡が一掃する。78分、右ウイングバックの鈴木雄斗からのパスを中央で受けると、ゴールマウスから25メートルほど離れた位置から左足を一閃。強烈なシュートは相手GKチョン・ソンリョンの手を弾き、ネットに突き刺さった。

【動画】田中が強烈ミドルで同点弾!
試合後、田中は得点シーンをこう振り返った。

「左サイドに誰かが走っているのが見えましたが、迷わずに振り切れました。打った瞬間に“良いところに当たったな”という感触があった。コースを狙ったわけではなかったですが、良いところに飛んでくれて良かったです」

田中のゴールは今季、湘南が生んだ25得点のうちで最も印象的だったと言えるほど鮮烈だったが、ネットを揺らした直後や試合後の取材対応で浮かれている様子は一切なかった。やはり、勝点1では満足できないのだろう。本人は次のように語った。

「同点だったので...なんとか勝ちたかったです。でも、久々にゴールを決められたのは良かった。開幕から得点にこだわってきたなかで、最近、シュートすら打てていなかったので。自信にしたいですね」

シュート数で20対6と圧倒しつつも、一発に泣いたFC東京戦から中3日。川崎戦はシュート数6対18とゲームを支配されたが、田中の同点弾で勝点1を持ち帰った。改めてゴールの重要性を痛感した連戦だったと言えるだろう。

この2試合で得た教訓を、どう次に活かすのか。6月30日のJ1第21節・京都サンガF.C.戦で成果を見せてほしいところだ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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