盛り土規制 佐世保市全域を指定区域 市が方針 熱海土石流災害受け

 長崎県佐世保市は26日、静岡県熱海市で2021年に発生した土石流災害を受けて施行した盛り土規制法に基づき、一定規模以上の盛り土に許可や届け出を求める規制区域を市全域とする方針を明らかにした。用途にかかわらず、盛り土の高さや面積に応じて造成に市の許可が必要となる。来年5月から適用したい考え。
 同日の市議会都市整備委で説明した。
 熱海市の災害は、不適切な盛り土が被害を拡大したとされ、社会問題化した。盛り土を巡っては宅地や農地、森林といった土地の用途などが原因で規制の及ばない「隙間」の存在が指摘されてきた。
 盛り土規制法は昨年5月に施行され、規制区域の指定のほか土地所有者らの責務を明確化。罰則も強化された。規制区域は地形や地質を踏まえ、崩落すれば人や住宅に被害が及ぶと判断した場合に指定する。市は地形データを基にした基礎調査を踏まえ、全域を対象にした。指定から外れた区域がある場合、危険な盛り土が集中する恐れもある。
 規制区域は、市街地や集落が近い「宅地造成等工事規制区域」と、市街地などから離れていても流出した土砂の土石流などで人家などに被害を及ぼす恐れがある「特定盛土等規制区域」の2種類がある。市は全域の53%を宅地造成等工事規制区域、47%を特定盛土等規制区域の候補とした。
 規制区域は県内で長崎市と県(長崎、佐世保両市以外の県内全域)も指定する必要がある。長崎市は佐世保市同様、市全域を指定。県は面積が広いことから現在、基礎調査を進めている。

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